高級腕時計の時計通信

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10.4.2015

ロレックス デイトナ16520 ~先代デイトナの魅力~

Komehyo

 ブログ担当者:須川

 

「ロレックスの憧れモデルといえば?」と聞かれると、「デイトナ(※1)」と答える方が多いのではないでしょうか。デイトナはロレックスの中でもステータス性において、突出したモデルです。今回はそのデイトナの先代モデル(※)についてのお話です。

 

↑先代のデイトナ:型式16520

 

※追記

2016年に新しいデイトナ116500LNが登場しましたので、現在、16520は「先々代」ということになりました。

 

・現行116500LN

・先代116520

先々代16520

 

2015年に執筆していますので、この記事では16520が「先代」と表現されておりますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 デイトナのムーブメントの違い

 

先代のデイトナ「16520(※2)」は、現行モデル「116520」とはムーブメントが違います。車・バイク・パソコンなどでもそうであるように、男性はどうしても内部のスペックまで気になってしまう性があるようです。それは、高級腕時計が「嗜好品でもあり実用品でもある」という特殊性とも関係しているのかもしれません。では、内部機械であるデイトナのムーブメントは以下のようになります。

 

 

 

<自動巻デイトナのムーブメント>

 

①現行モデル116520(2000年~)

ロレックス製自社ムーブメントCal.4130

 

②先代モデル16520(1988年~)

ゼニス製の「エルプリメロ」をロレックスがチューンアップしたムーブメント Cal.4030

 

 

 

    ロレックスはマニュファクチュールですので、ムーブメントも以前から自社生産していました。しかしクロノグラフに関してだけは設計の難易度が高いので、かつてより他社のムーブメントをベースムーブメントとして採用していました。

 

 そして、クロノグラフの主流が手巻式から自動巻式へ変化する時代が訪れます。その時代変化への対応で、ロレックスもそれまでの手巻式デイトナを廃番にして自動巻式デイトナを作る決断をします。その際に、ノウハウがないところから自動巻クロノグラフを自社生産をすることに踏み切ることは、ロレックスには危険なことでした。

 

 なぜならロレックスは実用性を重視するメーカーであり、信頼ができるものでなくては商品化に踏み切ることはないからです。そこで白羽の矢が立ったのが再生産が始まって間もないゼニスのエルプリメロでした。先代モデルの16520が作られたのには、そのような背景がありました。その後ロレックスはノウハウを蓄積し、2000年に念願の自社製クロノグラフを発表します。これが現行モデルの116520です。

 

↑現行のデイトナ:型式116520

 

※現行の116520は、先代デイトナとやや針の配置が異なります。秒針(スモールセコンド)が6字位置に変わり、3時と9時のインダイヤルがやや12時方向に移動しました。

 

 

    結果的にエルプリメロベースのCal.4030を搭載する16520は、ロレックスが他社ムーブメントに頼った最後のモデルということになります。では、エルプリメロとはどのようなムーブメントなのでしょうか?下で簡単に紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 ■ゼニス「エルプリメロ」

 

自動巻クロノグラフの登場年である1969年に、ゼニス/モバードが開発したムーブメントです。36000振動/時というハイビートなキャリングアーム・コラムホイール式自動巻クロノグラフ

 

 エスペラント語で「NO.1」を意味します。 しかし、1970年代以降に訪れるクォーツショック(クォーツ時計の台頭)により、ゼニスは機械式時計の生産を止め、クォーツ時計を中心に生産していく経営判断を下します。

 

 つまり、エルプリメロに関しても、そのノウハウを破棄し生産を止めることになります。しかしその後、多くの人々の予想を裏切り、機械式時計の需要は戻ります。おそらく、ゼニスもエルプリメロのノウハウを破棄したことを悔んだはずです。

 

 その時、ゼニスに一人の英雄が誕生します。実は、技術者のシャルル・ベルモが「ノウハウ破棄」という当時の経営判断に反して、密かに全てのノウハウを隠し持っていました。そのおかげもあり、エルプリメロの再生産が始まります。46年経った今でも現役ムーブメントとして活躍しています。  

 

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↑ゼニスの「エルプリメロ」

 

 

 

 

 

■ロレックスは「エルプリメロ」の信頼性をさらに高めた!

 

上で述べたように、エルプリメロは長寿なムーブメントです。長寿であるということは、ムーブメントの設計の良さを実証しているのではないでしょうか。設計された時代の違いもあり、エルプリメロの設計は最近のムーブメントのものとは一線を画します。

 

 古典的な機構である「キャリングアーム」を採用する水平クラッチはスペースを要するので、一般的に自動巻クロノグラフにはあまり採用されません。「キャリングアーム」はクロノグラフのON・OFF切り替え時にダイナミックに動くパーツなので、機械を見ることが好きな時計愛好家には嬉しいクラッチ方式です。

 

 そして、最大の個性は振動数が「36000振動/時」であることです。現在の主流なスペックは28800振動/時ですので、36000振動/時はエルプリメロの個性として捕らえることができます。振動数は高い方が、携帯精度が良くなりやすいという利点があります。「キャリングアーム採用の自動巻クロノグラフ」「振動数36000振動/時」という個性を併せ持つエルプリメロはとても魅力的に感じます。

 

 しかし、ロレックスは石橋を叩いて渡るようなメーカーなので、エルプリメロの振動数を28800振動/時に落として、更なる信頼性を追求します。前述したように、振動数は高い方が携帯精度が良くなりますが、パーツの磨耗は早くなります。ゼニスは特殊なオイルを使用してその磨耗をできる限り回避しようとしていますが、耐久性を重視したロレックスはその心配を取り除こうとしたのでしょう。  

 

IMG_7991

↑ロレックスにより高い信頼性を与えられたCal.4030

 

 

 

 

 

 「生ける伝説」のようなエルプリメロに、ロレックスのクオリティコントロールが加わったムーブメントがCal.4030です。16520を評価する理由がそこにあります。    

 

 

 

 

 

※1・・・正式名称は「オイスターパーペチュアル・コスモグラフ・デイトナ」ですが、ここでは「デイトナ」と省略して記しております。モデル名の詳細は別のブログ(ロレックス「コスモグラフ・デイトナ」は名前がチグハグ! 何故!?)でご確認ください。

 

※2・・・ステンレスモデルの型式。他にもゴールドやコンビネーションモデルもありますが、ここでは便宜上ステンレスの型式を代表して使います

 

 

 

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