2.9.2016
カルティエウォッチの人気モデル紹介 ~カルティエ時計の魅力溢れるネーミング~
Komehyo
ブログ担当者:山口
今週はカルティエウォッチの人気モデルを紹介させていただきます。ただし、何の視点もなく紹介をしても面白みがありませんので、ある点に焦点を当てながらモデル紹介をいたします。その“ある点”とは、モデルのネーミングです。
そう、実はカルティエウォッチはモデル名にとても魅力があるのです。
例えば、ロレックスの「サブマリーナ」は「潜水艦乗組員、海底作業者」など海の深海に関わる人を意味しています。さらに、「エクスプローラー」であれば「探検家、冒険者」を意味します。どの人が使うか、どのシーンで使うか、どんな機能かなど、割と直球的なネーミングをするのがロレックスです。しかしカルティエは違います。カルティエウォッチのモデル名を理解するには、私たちに“想像力”と“知識”が必要です。
↑タンクMC
例を挙げると、上の画像のモデルは「タンク」、つまり「戦車」を意味するモデル名です。このモデルを見て、皆さんは「戦車」というイメージまでたどり着くことができるでしょうか?想像力や知識によってこのモデルと「戦車」がリンクできた時、きっと多くの方は「なるほど、そういう発想だったのか!」と思うでしょう。芸術作品のように時計をデザインするカルティエだけに(※1)、モデルのネーミングの理由まで踏み込んで理解することで、よりモデルの魅力を感じることができます。
では、ネーミングの視点を含めたカルティエウォッチの人気(定番)モデル紹介をしていきます。
(※購入を検討されている方にとっては、“価格”も重要だと思います。そこで、当社のオンラインストア上の価格がチェックできるようにリンクも設けております。)
①タンク
↑タンクフランセーズ
↑タンク・ルイ・カルティエ
カルティエのロングセラーモデルです。“戦車の轍”がモチーフとなっています。1917年、戦車が通った後のキャタピラの跡を見て、ルイ・カルティエはこのデザインを思いついたそうです。“戦車”がもつイメージはどちらかというと“剛”のイメージですが、タンクは角型で品のあるデザインに仕上がっています。そのため、男性用、女性用のどちらに仕上げても違和感がなく、様々な場面で活躍する人気モデルです。事実、当社の販売するカルティエウォッチの中でも一二を争う人気を誇っています。
従来の普及モデルとしては、マストタンク、タンクソロ、タンクフランセーズ、タンクディヴァンなどがあり、ランクアップモデルとしてタンクアメリカンがありました。最近は、タンクアングレーズ、タンクMCというモデルも加わりました。
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②パシャ
↑パシャ・オリジナル(38mm)
↑パシャC
カルティエに興味がある方であれば“パシャ”という名前を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。“パシャ”の語源は、1930年代、モロッコの中央都市マラケシュの太守(パシャ)であった、エル・ジャヴィ公がカルティエに自分用の時計を制作依頼したことに由来します。彼は泳ぐための時計を希望したそうです。その後1943年に現在のパシャデザインの原型が完成し、水の侵入を防ぐためにリューズにカバーが装着されるデザインとなりました。時代を経て現代のパシャシリーズの正式な登場は1985年と比較的近年のことではありますが、由来に立ち返ると、ブランドの歴史の深さを垣間見るこができます。リデザインの際は、鬼才デザイナーであるジェラルド・ジェンタ氏が関わったというエピソードも有名です。
多様なサイズやデザイン展開からも、カルティエのパシャシリーズへの力の入れ具合が伺えます。男性用のパシャ・オリジナル(38mm)に始まり、パシャ32mm、パシャ35mm、パシャ42mm、パシャC、パシャシータイマーなど多くのランナップがありました。現在は、レディースラインの小ぶりなモデル“ミスパシャ”以外は生産終了となっていますが、中古市場では、なお人気を博している代表作です。
※太守という言葉は多義的ですが、日本でいう「大名」「一地域の長」を意味します。
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③サントス
↑サントス100
こちらは人名に由来するモデルです。ブラジル人飛行士アルベルト・サントス-デュモンがルイ・カルティエに依頼したにより、1904年に誕生しました。まだ軍用や宝飾用しか腕時計がなかった時代ですので、サントスは実用品としての“初の腕時計”と認識されています。近年で定番化したモデルとしては、サントスガルベ、サントス100、サントスドュモワゼルが挙げられます。その他に、オリジナルデザインに近いサントスデュモンなどもラインナップされています。
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④バロンブルー
↑バロンブルー
最近定番化したモデルとして勢いがあるのがバロンブルーです。パシャ同様、様々なサイズ展開で2007年の登場以来、人気モデルとして不動の地位を築いています。“バロンブルー”を英語にすると“Blue Balloon”、つまり「青い風船」を意味します。その名のとおり、風船のような流線型の柔らかいフォルムや、丸みを帯びたドーム型サファイアガラス風防、ケースと一体化したリューズガードなど、凝ったデザインが人気の理由です。その斬新なデザインは、クラシックな雰囲気の従来のカルティエウォッチに慣れ親しんでいたユーザーの心もがっちりと掴むこととなりました。
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⑤カリブル・ドゥ・カルティエ
↑カリブル・ドゥ・カルティエ
“カリブル”とは“キャリバー”のことで、広義的にムーブメントを指します。以前よりカルティエは内部のムーブメントに他社製のものをベースとして採用していました。現在は自社で開発をしたムーブメントの採用を拡大していますが、カリブルはその足がかりになったモデルです。そのため、ムーブメントに注目をしてもらうようなネーミングがされました。2010年に誕生したカリブルは、男性専用のラインであることでも有名です。
※カリブル・ドゥ・カルティエの価格をチェックする
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⑥その他の人気モデル
・ベニュワール:
「西洋浴槽」の意味します。確かにケースの形が西洋の丸みのあるバスタブのようです。
・パンテール:
「豹(ひょう)」を意味します。豹はカルティエがブランドイメージとして大事にするモチーフです。横から見たフォルムが座った豹のようにしなやかです。
・ロードスター:
元々は簡素な馬車を表す言葉ですが、一般的には「キャビンの狭いオープンカー」を指します。自動車デザインにインスパイアされていると感じる作品です。
・ラドーニャ:
「貴婦人」を意味します。1950年代に活躍したメキシコの映画女優マリア・フェリックス氏へのオマージュとして作られたモデルです。彼女は爬虫類デザインのジュエリーをカルティエに依頼したことで有名ですが、このモデルにも鱗のようなブレスレットなど爬虫類のようなエッセンスを感じます。
⑦定番外モデル
・イマリア:
ギリシャ神話の神ゼウスからの寵愛を受けたロードス島の精霊「イマリア(ヒマリア)」が由来です。確かに精霊がもつスピリチュアルなイメージを感じるデザインです。
・カプティブ:
カブティブとは「虜にする」という意味です。手錠をモチーフにしているデザインにはセンスを感じます。
・トロンボーン
管楽器のトロンボーンをモチーフとしています。確かに腕の上に楽器が乗るような遊び心を感じます。
・デリス
デリスとは「最高に美味なもの」「至上のよろこび」という意味を表します。フランスの伝統的な幸せのお菓子「カリソン」がイメージとなっているといわれています。
とても魅力的なモデル名をいくつか紹介させていただきましたが、カルティエウォッチのネーミングセンスはいかがでしょうか?「名は体を表す」ように逆算された独創的なネーミングは芸術的です。多くの人がデザインを一見してそのネーミングに行き着くことは困難ですが、逆に、モデル名を知ってからそのデザインを眺めると「なるほど!」と思わせるようになっています。
時計にとって、デザインが重要な要素であることは当然です。しかしカルティエの場合、モデル名という要素にまで目を向けると、また違った観点の楽しさがあります。ディズニーランドは“隠れミッキー”、“清掃員のファンタジーな対応”など細部までこだわっています。それが人を感動させるエンターテイメントです。私はカルティエのモデルネーミングも、細部にこだわったエンターテイメントだと評価しています。
今回紹介をしたモデル以外にも、まだまだカルティエウォッチにはこだわったネーミングのモデルがあります。是非、そのモデル名の背景まで関心を持ってみてください!
※1・・・カルティエが芸術作品を作るように時計製造をしている点については、以前の投稿「独自路線を行くカルティエウォッチの魅力とは?~カルティエの時計は芸術作品~」をご参照ください。
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