高級腕時計の時計通信

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23.6.2017

カルティエの時計、なぜ文字盤の数字が「Ⅳ」ではなく「IIII」?

Komehyo

ブログ担当者:亀田

 

カルティエの時計では、多くのモデルで、文字盤の数字部分(インデックス)に“ローマ数字”を採用しています。

 

ローマ数字とは、一般的な数字(アラビア数字)の「1、2、3・・・」ではなくて、「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ・・・」という数字のことです。

 

↑インデックスにローマ数字を採用する

 

実は、このカルティエの時計のローマ数字には、時計業界特有の特徴が表れています。それは、上の画像を見ていただくと分かると思います。

 

そう、数字の「4」が、「Ⅳ」ではなく「IIII」なのです

 

ここでは、“ローマ数字インデックスを採用する象徴的なブランド”として、カルティエをピックアップしましたが、実はその他多くの時計ブランドでも同様に「IIII」を採用します。つまり、時計業界で「IIII」は一般的な表現なのです。

 

今週は、「ローマ数字『IIII』がなぜ採用されるのか」という疑問に答えつつ、どれぐらい「IIII」が時計業界に定着しているかを紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

■ローマ数字について

↑カルティエ/サントス100

 

まず、今回の話を理解するためには、予備知識として、ローマ数字の知識が必要になります。そのため、“ローマ数字の解説”から始めます。

 

そもそも、ローマ数字とは「I.V.X.L.C.D.M」の7種類を使って数字を表す記号のことです。その各記号を、一般的なアラビア数字に当てはめると以下のようになります。

 

 

<ローマ数字とアラビア数字の対応>

I=1

V=5

X=10

L=50

C=100

D=500

M=1000

 

 

この記号の“並び順”と“足す・引く”で、数を表すのです。

 

 

<並び順>

①基本は、“大きい数”から順番に並べる

②同じ数字は3つまで並ぶことが可能

③V.L.D(5の単位)は繰り返さず、X.C.Mに位を上げる

 

<足す・引く>

④基本通り“大きい数”から順番に並んでいる場合は、「足す」

“小さい数”が先に並ぶ箇所は、その直後の数字から「引く」

 

 

例1)MDCLXVI=1666

※M(1000)+D(500)+C(100)+L(50)+X(10)+V(5)+I(1)

↑全ての数が大きい方から順番に並んでいるので、全て「足す」のみ

 

例2)XVIII=18

※X(10)+V(5)+I(1)+I(1)+I(1)

↑同じ数は3つまで並ぶことができる(「I」が3連続)

 

例3)XIV=14

※X(10) +V(5) I(1)

↑「V」より小さい数である「I」が先に並ぶので、「足す」ではなく「引く」になる

 

 

今回、焦点にしたいのは、上の“例3”です。つまり、「1.2.3.4.5」をローマ数字にすると、「Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ.Ⅳ.Ⅴ」となることです。ローマ数字では、同じ数を3つまで並べることができるので、1~3はスムーズにいきます。しかし「4」になると、「I」を4つ並べないため、「5-1」という発想をして「IV」となります

 

さて、今回のテーマのポイントは、“「Ⅳ」ではなく「IIII」”という点です。この知識によって、まずは“「IIII」という表現が常用外”ということを理解してください。

 

 

 

 

 

 

■なぜ「Ⅳ」ではなく「IIII」?

↑カルティエ/タンクアメリカン

 

次は、「なぜ『Ⅳ』ではなく、『IIII』なのか」という点についてです。実はこの疑問に対する答えは、複数の説が存在し、正確な回答ができません。次で、一部ですが有名な説を紹介します。

 

 

<フランスのシャルルⅤ世のわがまま説>

フランスのシャルルⅤ世が、完成した時計を見たときのエピソードです。完成した時計には、「Ⅳ」が使われています。自身が“Ⅴ世”であり、“5から1を引く”のは縁起が悪いと考え、「IIII」で作り直すよう時計師に命じたという説です。

 

 

<バランスが良いから説>

「IIII」とした方が、文字盤の対象の位置にある「Ⅷ」とのバランスが良いとする説です。

 

 

<ローマ神話の最高神「Jupiter」の略とかぶるのを避けるため説>

元より、ラテン語では「I」と「J」、「U」と「V」の区別がありません。そのため、ローマ神話の最高神「Jupiter(ジュピター)」の略「JU」が、ローマ数字の「IV」と同じになってしまいます。つまり、神の名とかぶることを避けるためという説です。

 

 

これら以外にも、様々な説が存在します。どの説が正しいかは、はっきりしていません。

 

 

 

 

 

 

■実際に、どのぐらい「IIII」が普及している?

↑ロレックス/デイトナ116599RBRZER

↑オメガ/コンステレーション2000

 

では、時計業界では実際にどのぐらい「IIII」が普及しているのでしょうか?上の画像はロレックスとオメガですが、両方とも「IIII」を採用しています。そこで実態を把握するために、ある程度有名なブランドを50ブランド選んで、調査してみました。その結果は、以下です。

 

 

<「IIII」か「Ⅳ」かの調査結果>

※ある程度有名なブランドを“50ブランド”選んで調査

※モデルによって使い分けするケースもありましたが、「どちらが主か」で判断しています

 

・「IIII」・・・47ブランド(シェア94%)

ロレックス、オメガ、パテックフィリップ、ブレゲ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタン、ブライトリング、ブレゲ、その他多数

↑パテックフィリップ/カラトラバ3919

 

・「Ⅳ」・・・3ブランド(シェア6%)

シャネル、ブシュロン、ベダ&カンパニー

↑シャネル/マドモアゼル

 

 

やはり、この調査結果を見ても、時計業界では圧倒的に「IIII」が主流です。逆に、「Ⅳ」を採用することが新鮮に感じるくらいです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

ここまでで、カルティエの時計からスタートして、多くの時計で文字盤の数字が「Ⅳ」ではなく「IIII」であることを紹介しました。実際に調査した数字でも、「IIII」という表記は常用外であるにもかかわらず、時計業界で浸透していることが理解できたと思います。

 

最後に私の気付きです。これだけ「IIII」が浸透している状況において、「Ⅳ」を採用した3ブランド(シャネル、ブシュロン、ベダ&カンパニー)は、注目するべきかもしれません

 

きっと、「Ⅳ」を意図的に採用する“確信犯”です!

 

 

 

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