高級腕時計の時計通信

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19.6.2015

独自路線を行くカルティエウォッチの魅力とは? ~カルティエの時計は芸術作品~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

「有名な時計メーカーといえば?」という質問の答えに真っ先挙がるのは、「ロレックス」「オメガ」という名前だと思います。しかし、「カルティエ(Cartier)」に関しては、ジュエラーとしての名声もあるので、なかなか時計メーカーとして名前がすぐには挙がらないのではないでしょうか?  

 

しかし、カルティエは「世界で初めて腕時計を生み出した(※1)」メーカーであり、「サントス」「タンク」「パシャ」など数々の名作腕時計を残しています。つまり、カルティエは時計史でも輝かしい栄光を残した「名門時計メーカー」です。

 

ただし、ロレックスやパテック・フィリップみたいに時計界を先導してきたメーカーと比べると、カルティエの「目指したもの」はまた違うように感じます。ロレックスやパテック・フィリップは「高級腕時計のスタンダード」を確立したメーカーですが、カルティエはジュエラーとしての気質もあってか、スタンダードなものではなく洗練されたデザインの時計開発を目指しているように感じます。つまり、カルティエは王道を歩むのではなく、「芸術作品を生み出すように」時計作りをしています。

 

今週は私が感じる「カルティエウォッチの魅力」について、説明させていただきます。

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↑「芸術作品を生み出すように」時計作りを行う

 

 

 

 

 

 

■カルティエ作品のイメージを紹介

 

まずは、カルティエ作品をイメージしていただくために、何種類かモデルを紹介いたします。 どれも至高の存在感を放っています。  

 

 

<カルティエの作品>

・サントス

出品商品登録 20150619 181258  

 

・タンク

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・パシャ

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・クラッシュ

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・パンテール1925

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上に紹介したモデルはほんの一例ですが、それぞれの作品にそれぞれのストーリーがあり、カルティエの時計はとても魅力的です。ただし、前衛的な作品が多いので時計を身につける側のコーディネートセンスが問われるという点はあるかもしれません。        

 

 

 

 

 

 

■カルティエ最大の魅力とは?

 

私はカルティエ最大の魅力は、

 

圧倒的なデザイン力を持ち、ユーザーを魅了する作品を作り出せること

 

だと思います。

 

人気のあるメーカーであれば当たり前に聞こえるかもしれませんが、普通であれば大規模なメーカーは、市場ニーズや消費者ニーズを優先して商品を考えます。つまり、「どういったターゲット」に売るかを考えて商品作りをします。しかし、私が感じるカルティエのスタンスは、「我々は素晴しいデザインの作品を生み出すから、カルティエファンの方はその感性について来て欲しい」というものです。消費者に媚びたものではなく、新しいものを生み出していく姿勢を感じます。

 

 更に、上で書いたカルティエのスタンスが顕著に現れる部分は、「商品ラインナップのサイズ展開」です。他の時計メーカーはあまり使わない「S」「M」「L」「XL」というのサイズ展開を行っています(カルティエは「SM」「MM」「LM」と表現します)。つまり、女性用は「S」、男性用は「L」という考え方です。これはカルティエの商品が販売ターゲット(例えば男性向き、女性向きなど)から企画した商品開発ではなく、「素晴しい作品を作り、それを性別を超えて受け入れてもらう」というスタンスの商品開発をしている証拠ではないでしょうか。このようなラインナップ展開は、性別を超えて受け入れてもらえるデザイン力がないと成り立ちません。いかにカルティエがデザイン力に自信を持っているかがわかります。

 

 ここで、私がカルティエの時計デザインについて思うことを紹介させていただきます。カルティエウォッチのデザインの真髄は「前衛的である」にもかかわらず「普遍性がある」という点ではないでしょうか?発表されたときは「前衛的に」感じる作品も、歴史的に見れば皆が素晴しいと思う「普遍性」をもっています。サントス、タンク、パシャなど銘品と言われる作品も、そんな絶妙なバランスのデザインだからこそ支持されているように感じます。        

 

 

 

 

 

 

■カルティエの最近の動向は?

 

ただ、現在のカルティエは以前のような「性別を越えた商品作り」だけではなくなっています。例えば、1998年からの機械式時計に特化した「コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリ(CPCP)」ラインや、CPCP終了を受けて2009年から展開されている「オート オルロジュリー コレクション」や、2010年に登場した男性専用モデルの「カリブル・ドゥ・カルティエ」も登場しており、男性にフォーカスした戦略もとりはじめています。特に、ハイセンスなカルティエが男性ターゲットで作った「カリブル・ドゥ・カルティエ」は、現在も時計市場で男性消費者に支持されています。

↑カリブル・ドゥ・カルティエ

 

CPCPラインで発表された作品は、過去の優れた作品のデザインをベースにしたケースに機械式ムーブメントを搭載していました。しかし、カリブル・ドゥ・カルティエは「外装からムーブメントまで」男性のために作られた作品です。私はカルティエの男性ターゲットへの本気度を感じます。そして、前述した「S」「M」「L」「XL」というのサイズ展開も、最近の動向として「○○ミリ」という表現に変えようという意図が見受けられます。

 

 

 

 

 

■最後に

男性にフォーカスした戦略をとり始めたことやサイズ表記を変えようとする動向は、カルティエが戦略的に方向転換したということでしょうか?しかし、今年の新作として発表した「クレ・ドゥ・カルティエ」は従来通りの「性別を越えた商品作り」の作品だと思います。

 

今後のカルティエはどのような作品作りを目指していくのでしょうか?皆さんも動向に注目してみてはいかがでしょうか?

 
 
 
 
 

※1・・・1904年にカルティエがサントス・デュモンのために製作した時計が世界初の腕時計として認識されています。しかし、それ以前にも「懐中時計を腕に装着できるようにしたもの」や、「腕につける宝飾品に時計がついたもの」などの存在があり、賛否が分かれます。つまり、何をもって「腕時計」とするかの定義が争点になっています。更に、19世紀末にジラール・ペルゴがドイツ海軍将校のために開発した腕時計も世界初の腕時計と言われています。

 

 

 

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