高級腕時計の時計通信

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5.7.2019

時計選びのときに知っておきたい!「ETA(エタ)」という時計用語 ~「2892A2」「2824-2」「7750」ムーブメント~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

■時計選びのときに知っておきたい!「ETA(エタ)」という時計用語

 

高級時計に興味をもった方は、高級時計についていろいろ調べる中で、きっとETA(エタ)という用語に遭遇するはずです。

 

例えば、

 

ETA 2892A2

ETA 2824-2

ETA 7750

 

という用語は、よく登場します(この3つの用語については、後で説明します)。

 

ただ、この「ETA」という時計用語は、きっと多くの方にとっては聞きなれない用語だと思います。そこで今回は、この「ETA」という用語について説明させていただきます。

 

まず、下の画像をご覧ください。これは、腕時計の裏蓋を開けて、内部を写したものです。

上の画像を見て分かるように、時計の内部には、何やら“機械”が入っています。この時計内部の機械のことを、「ムーブメント」と呼びます。ムーブメントは、自動車で例えると「エンジン」のような存在で、時計を動かすメカニズムです。

 

なぜムーブメントについて説明をしたかというと、ETAが“ムーブメントを作っているメーカー”だからです。もっと具体的に言うと、ETAは、スイスが誇る「業界最大手のムーブメントメーカー」です。

 

上の説明の通り、ETAは業界最大手のムーブメントメーカーですので、当然、多くの時計メーカーにそのムーブメントが採用されています。現在でこそ“自社製ムーブメント”や“ETAジェネリックムーブメント”を採用するメーカーが増えていますが、1990年代は「スイスの時計の約90%が、ETA製ムーブメントを搭載している」と言われていました。ETAは、そのぐらい大きな存在感をもっているメーカーなのです。

↑多くのメーカーがETAムーブメントを搭載

 

次に、“組織”としてのETAについても説明しておきます。現在のETAは、「エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス(ETA SA Manufacture Horlogère Suisse )」という社名の、一企業です。しかし元々は、「スイスのムーブメントメーカーの連合組織」でした。つまりETAは、いくつかのムーブメントメーカーが、生き残りを賭けて協力体制を作るようになり、誕生した組織が母体です。例えば、「バルジュー」「ユニタス」「プゾー」「ア・シールド」など、かつて活躍したムーブメントメーカーがETAに吸収され、現在のETAの母体になっています。

 

そして現在、ETAは「スウォッチグループ」という、スイス最大のコングロマリットに所属しています。そのため、時計業界最大のグループ(スウォッチグループ)が、スイス最大のムーブメントメーカー(ETA)を抱えているのが、現在の時計業界の状況なのです。

 

 

 

 

 

 

■代表的な3つのETAムーブメント

 

次に、代表的なETAムーブメントを紹介します。

 

冒頭で、

 

「ETA 2892A2」

「ETA 2824-2」

「ETA 7750」

 

という用語を、例として出しました。

 

実はこれらは、“ムーブメントの型式”を表しています。より分かりやすく表現するなら、「ムーブメントの名前」と言ってもいいでしょう。今回は、代表的な3つを紹介します。

 

 

 

①「2892」系

ETAを代表する“3針自動巻”ムーブメントです。「2892」の末の番号により亜種が発生し、2892A2」が現在の標準機となります。次に紹介する「2824系」よりも、上位グレードとされます。自動巻としては厚みが薄いため、デザイン的にさまざまな時計に採用しやすいムーブメントです。馬力も精度も十分にでる、まさに“万能機”です。直径25.6mm、厚さ3.6mm。

 

・基本機能

→センター秒針、日付表示、自動巻機能(両方向巻上げ)

 

・振動数

→28800振動/時

 

・標準パワーリザーブ

→50時間以内(公式HPによる)

 

・派生機

→「2893-2(GMT機能つき)」

 「2894-2(クロノグラフ機能つき)」

 「2895-2(秒針位置が6時)」など

 

・採用例(ベース機として含む)

↑オメガ「シーマスタープロフェッショナル」

↑カルティエ「パシャC」

↑シャネル「J12(男性用)」

↑IWC「ポートフィノ」

 

 

 

①「2824」系

ETAを代表する、もうひとつの“3針自動巻”ムーブメントです。末の番号により亜種が発生し、2824-2」が現在の標準機となります。先に紹介した「2892系」は上位グレードでしたが、こちらは標準グレードとされます。厚みは2892系よりもありますが、こちらも馬力も精度も十分にでる“万能機”です。直径25.6mm、厚さ4.6mm。

 

・基本機能

→センター秒針、日付表示、自動巻機能(両方向巻上げ)

 

・振動数

→28800振動/時

 

・標準パワーリザーブ

→42時間以内(公式HPによる)

 

・派生機

→「2826-2(日付サイズ拡大タイプ)」

 「2836-2(デイデイト(曜日あり)」など

 

・採用例(ベース機として含む)

↑チューダー「サブマリーナ」

↑ロンジン「レジェンドダイバー」

↑ジン「556」

↑ハミルトン「カーキフィールド」

 

 

 

①「7750」系

ETAを代表する“クロノグラフ”ムーブメントです。同じく、末の番号により亜種が発生します。「7750」が基本のムーブメントとなります。かつてバルジュー社のムーブメントであったため、現在でも通称として「バルジュー7750」と呼ばれます。厚みはありますが、馬力も精度も十分で、多くのクロノグラフモデルに採用されています。直径30mm、厚さ7.9mm。

 

・基本機能

→クロノグラフ、日付表示、曜日表示(省略可)、自動巻機能(片方向巻上げ)

 

・振動数

→28800振動/時

 

・標準パワーリザーブ

→54時間以内(公式HPによる)

 

・派生機

→「7751(月齢表示、針式日付表示つき)」

 「7753(横三つ目インダイヤル)」

 「7754(GMT機能つき)」など

 

・採用例(ベース機として含む)

↑ブライトリング「ナビタイマー(旧)」

↑IWC「ポルトギーゼクロノグラフ」

↑オメガ「スピードマスターデイト」

↑タグホイヤー「カレラタキメータークロノ」

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

今回は、よく登場する時計用語として「ETA」を紹介しました。そして、ETAについて理解すると、今度は、次のような疑問を持つ方も増えるでしょう。

 

ETAムーブメントの評価はどのようなもの?

 

この疑問に対しては、人による価値観によるところが大きいため、一概には言えません。ただし、イメージで伝えるなら、うってつけの例があります。それは、スマートフォンのOSです。

 

私の印象としては、ETAムーブメントは「グーグルの“Android”」に近い存在です。「幅広いモデルに搭載される」点、「メーカーの好みにあったカスタマイズができる」点、「たくさんの数を長く作り続けている信頼性」などが、ETAとの共通点だと感じます。

 

皆さんも、Androidに対しては「一番普及しているタイプ」というイメージではないでしょうか。つまり、ETAムーブメントは、「業界最高峰」というイメージではなく、「最もメジャーなもの」というイメージです。

 

ついでに言うと、ロレックスのムーブメントは、ETAではなく自社製ムーブメントを搭載します。こちらを例えるなら、「I-PHONEが搭載する“iOS”」に近い存在でしょう。「自社製品にしか搭載しない」点、そして、「さりげなく高いスペックと実用性を組み込む」点が、ロレックスとの共通点だと感じます。

 

知ると興味が尽きないのが、ムーブメントの世界です。是非、高級時計の世界を知るためにも、ムーブメントに興味を持ってみてください!

 

 

 

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