高級腕時計の時計通信

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3.8.2018

チューダー(チュードル)|ロレックスとは違う独自進化のクロノグラフ ~「クロノタイム」「カマボコ」「ホームベース」など独自用語を覚えよう~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

チュードル(TUDOR)」は、数ある時計ブランドの中でも、ロレックスの“弟ブランド”として貴重な存在です。

私どもの以前の投稿でも、そのロレックスとチュードルの関係性を、日本のファッションブランドの「ユニクロ」と「GU」に例えたことがあります。

 

確かに、私の感覚としても、チュードルはブランド発展の経緯がGUに似ている気がします。

 

例えばGUは、ブランド黎明期には「より安価なユニクロ」というイメージでしたが、現在は「デザインにトレンドを求めるブランド」というイメージです。チュードルも同じよに、かつては「ロレックスの廉価版」というイメージでしたが、現在は「個性的なデザインが魅力なブランド」というイメージです。

 

つまりチュードルは、

 

“ロレックスデザインを安価に味わうブランド”

    ↓

“独自デザインで勝負するブランド”

 

に変貌したのです。

 

ただ、この変貌は急に起こったとは言い切れません。もちろん、確かに現象としては、急に「ロレックスの部品を使わない」という劇的な路線変更を行いました。しかし、実はその以前から、“独自デザイン”で勝負する兆しがあったのです。

 

例えば、ロレックスのクロノグラフと言えば、「デイトナ」が有名です。かつてのチュードルは、このデイトナをオマージュしてクロノグラフを作り上げました。それが、1970年に登場したチュードルの「オイスターデイトクロノグラフ」です。しかしオイスターデイトクロノグラフは、ロレックスのデイトナをオマージュしたはずなのですが、なんとデイトナよりも奇抜なデザインで登場したのです。

↑1970年代のデイトナ6263

↑オイスターデイトクロノグラフの復刻

(ヘリテージクロノ70330N)

 

上に用意した2つの画像をご覧ください。1つ目の画像は当時のロレックスのデイトナです。そして2つ目の画像は、かつてのオイスターデイトクロノグラフのデザインを復刻したチュードルのヘリテージクロノです。この2つを比較しても、いかにオイスターデイトクロノグラフが奇抜だったかがわかります。このことからも、“デイトナの廉価版”ではなく、“独自デザイン”で勝負をしようと意気込む、当時のチュードルの姿勢がうかがえます。

 

このように、ロレックスの廉価版としてブランドを設立したチュードルも、年月を経るごとに、どんどんと独自カラーを出そうとしていきます。特に、その独自カラーにより“独自進化”するチュードルのクロノグラフは、見ていて面白い存在です。

 

今週は、独自進化するチュードルのクロノグラフを紹介をします。ただし、単純に紹介するだけでは面白みに欠けますので、今回は、「8つのチュードルクロノグラフの“独自用語”」を中心として、紹介していこうと思います。是非、独自進化するチュードルクロノグラフの世界を覗いてみてください。

 

※追記(2018/09/19)

執筆時点でチュードルは日本で正規輸入がないブランドでしたが、2018年の10/31より正規輸入を行うことが発表されました。日本での正式な読み方は「チューダー」と決まりました。

 

 

 

 

 

 

■チュードルクロノグラフと“独自用語”

 

では、チュードルのクロノグラフを紹介していきましょう。冒頭で書いたように、チュードルクロノグラフに登場する8つの“独自用語”に注目して紹介していきます。

 

なお、チュードルクロノグラフは、同じ時代に複数の型式をもつことが多い状況です。これは、ベゼルの種類でバリエーションがあるからです。その種類は、着色プレートにタキメーターを描いた通称「プラ(スチック)ベゼル」、可動ベゼルに12時間インデックスを描いた「回転ベゼル」、金属ベゼルにタキメーターを描いた「メタルベゼル」です。以降で型式が複数登場するのは、そのためだとご理解ください。

 

では以降で、8つの独自用語を紹介しましょう。

 

 

 

①「ホームベース」

前述のように、初代チュードルクロノグラフは1970年に登場しました。名称は「オイスターデイトクロノグラフ」です。この初期のモデルの7031/0、7032/0、7033/0は、文字盤インデックスのデザインが「野球のホームベース」に見えることから、通称「ホームベース(ホームプレート)」と呼ばれます。また、2010年に復刻デザインとして登場した「ヘリテージクロノ(70330N)」も、ホームベースデザインを採用しています。

 

 

 

②「モンテカルロ」

1971年、オイスターデイトクロノグラフは7149/0、7159/0、7169/0という第二世代が登場します。そこで登場するカラフルなレーシー文字盤が、通称「モンテカルロ」と呼ばれるモデルです。「モンテカルロ」はモナコの地区名で、F1のモナコグランプリやカジノでも有名です。要するに、カジノのルーレットのようにカラフルで、F1のようにレーシーな文字盤デザインを“モンテカルロ文字盤”と呼んでいるのです。

 

前作のホームベースもカラフルでレーシーな文字盤でしたので、一種のモンテカルロ文字盤です。しかし、前作はホームベースの印象が強くて「ホームベース」という表現を前面押し出しています。それに対して、こちらはホームベースがないインデックスですので、「モンテカルロ」という表現が前面にきます。こちらも、2013年に復刻デザインとして登場したヘリテージクロノ(70330B)により、当時のテイストが再現されています。

 

 

 

③「クロノタイム」

④「エキゾチック文字盤」

↑「CHRONO TIME(クロノタイム)」印字

 

ここまで登場したチュードルクロノグラフは“手巻クロノ”だったのですが、1976年、遂に“自動巻クロノ”が登場します。この自動巻クロノグラフは「オイスターデイトクロノグラフ」として登場し、後年には「プリンスデイトクロノグラフ」になります。時計業界では、文字盤に印字された文字を参照して「クロノタイム」と呼んでいます。

 

初期のクロノタイム9420/0、9421/0、9430/0は、モンテカルロ文字盤のようなカラフルな文字盤をもつものが存在します。なぜかこの世代のカラフルな文字盤は「エキゾチック文字盤」と呼ばれます。そして、この世代ではカラフルでない、まさにロレックスのデイトナのような“正統派デザイン”の文字盤も登場します。

↑“正統派デザイン”の文字盤

※画像はクロノタイム79170

 

 

 

⑤「ビッグブロック」

⑥「カマボコ」

1989年以降に登場するクロノタイムの第二世代、79160、79170、79180になると、エキゾチック文字盤はなくなり“正統派デザイン”の文字盤だけになります。面白いもので、文字盤から奇抜な個性が抜けたモデルは、“形”に目が移るようです。本体ケースの形状が“ずんぐりむっくり”している様をレンガのように表現して、海外では主に「ビッグブロック」と言われるようになります。このケース形状はクロノタイムの第一世代から第二世代にかけて採用されています。

 

日本では、横から見た形が「“かまぼこ”みたい」なので、「カマボコケース」や「カマボコ」などと呼ばれるようになります。ちなみに、ロレックスのデイトナを横から見ると、3次元的な流線型をしているので、カマボコのようには見えません。さらに補足すると、1995年以降の第三世代のクロノタイム(79260、79270、79280)はデイトナのような流線型ケースを持っています。そのため、“第三世代との違い”を表現する意図で、第二世代以前を「カマボコケース」と言っていることが多いのです。

↑ロレックスのデイトナは流線型

 

 

 

⑦「枠あり」

また、このカマボコケースをもつクロノタイムの第二世代を、大きく「前期」「後期」と分ける風潮があります。前期と後期にはいつくかの違いがありますが、もっとも目に付くのは“日付表示の周りにある四角い線”です。これを「枠(わく)」と表現しており、枠がある方が「前期」で、枠がない方が「後期」にあたります。

↑「前期」と「後期」の比較

※メタルベゼルの場合はベゼル仕上げも違う

 

 

 

⑧「タイガー」

1995年以降の流線型ケースをもつクロノタイムの第三世代も、途中からロレックス製の部品を使用しなくなったという変化があるため、「前期」「後期」に分ける風潮があります。従来の“オイスターデイト”の名称をもつ「前期」は、まさにカマボコケースの第二世代を、そのまま流線型ケースに変えたイメージです。一方、“プリンスデイト”に名称を改めた「後期」は、文字盤やバンドのバリエーションを広げ、シリーズの印象を大きく変化させました。特に、文字盤の種類に奇抜なカラーを投入したこともあり、一気にクロノタイムのイメージがポップなものに変わりました(もちろん従来の正統派カラーもありますが)。

↑ロレックスの部品を使用しなくなる

 

後期モデルは、1998年以降に文字盤に「タイガー(TIGER)」の印字を持つタイプが登場します。これは、有名なプロゴルファーである、タイガー・ウッズ氏をブランドアンバサダーに迎えたことにより誕生したモデルです。

↑「後期」に存在する様々な“タイガー”モデル

 

なお、第三世代「後期」のタイガー印字がない方のモデルを、「ノンタイガー」と言う場合があります。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

今回は、8つの“独自用語”を中心軸にして、チュードルクロノグラフを紹介しました。きっと、多くの方が「マニアックな世界だなぁ!」と感じたのではないでしょうか。

 

まさにその通りで、チュードルクロノグラフの世界はマニアックです。

 

だからこそ、その独自の用語を把握することが、その世界を覗く一歩になるのです。

 

私としては、今回の記事を読んで、是非、多くの方にチュードルクロノグラフの魅力を感じていただきたいです。そして皆さんに、チュードルを「ロレックスの廉価版」としてではなく、「マニアックな時計ブランド」として認識していただければ嬉しいです!

 

 

 

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