高級腕時計の時計通信

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15.9.2017

このクォーツ、何が凄い? グランドセイコーの心臓「9Fキャリバー」

Komehyo

ブログ担当者:志津

 

「グランドセイコーのクォーツモデルは凄い」

 

ということを聞いたことがあるでしょうか?

 

突然の質問でしたので補足します。”グランドセイコー”は、日本の時計メーカーであるセイコーのトップブランドです。そして、時計業界で“クォーツ”は、電池式の時計を指します。

↑グランドセイコー/SBGX063

 

ではなぜ、グランドセイコーのクォーツモデルは凄いと言われるのでしょうか?実は、その理由は分かりやすいもので、「時計の“心臓部”、つまり、中に入っている機械(ムーブメント)が優秀だから」です。ムーブメントにも種類がありますが、特に、“9Fキャリバー”と呼ばれるクォーツ式ムーブメントが、大きく評価されています。

 

9Fキャリバーは「クォーツ式ムーブメントの最高峰」とも称されるムーブメントですので、

 

「高級時計は機械式時計(※1)しか持っていないから、クォーツ時計も1本欲しいな」

 

「高級時計を買いたいけど、仕事上、正確なクォーツ時計が選びたい」

 

という方にはグランドセイコーの9Fキャリバー搭載モデルがおすすめです(※2)。

 

しかし、私がいくら「おすすめです」と言っても、グランドセイコーは外観が“シンプルかつ誠実なデザイン”のため、なかなかその凄さが伝わらないと思います。そこで、今回は、“9Fキャリバーの凄さ”について語りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

■そもそも“クォーツ時計”って何?

 

今回のトピックの予備知識として、「そもそもクォーツ時計って何?」という疑問を解消するところから始めます。

 

前述の通り、クォーツ式ムーブメントは“電池式”であり、ボタン電池から来る電気を動力にしています。そしてその名前の通り、機構に「Quartz=水晶」を採用します。「水晶に電圧を加えると規則的に振動する」という現象がありますので、この現象を利用して時計のペースを作っているのです。その水晶が1秒で発生させる振動は「32,768ヘルツ」と高振動で、一般的なゼンマイを動力源とする機械式時計の「4ヘルツ」を遥かに凌駕しています。その振動をICが計算し、1秒に1ステップの“秒”のペースを産み出している構造となっています。

↑動力源はボタン電池

 

上で紹介した振動数の違いからも、クォーツ時計の優位性がわかります。クォーツ式は機械式より圧倒的に高振動なため、“高い精度”が得られます。つまり、「クォーツ式は正確である」という点が長所なのです。ただし、短所もあります。それは、“トルクの弱さ”です。具体的に言うと、「クォーツ式は“針を動かす力”が機械式よりも弱い」のです。そのためクォーツ式は、しばしば高級時計に採用されるような“大きな針”を動かすことは苦手です。

 

そして何といっても、最大の魅力は「電池がなくなるまで止まらない」ことです。一般的には、しっかりと状態が保たれていれば、電池は“2年ほど”もつと言われています。しかし、ゼンマイで動く機械式時計はゼンマイが全て解けると止まる構造となっています。一般的なものであれば、“1日半~3日間ほど”放置すると止まります。止まるたびにゼンマイを巻くのがおっくうな方は、クォーツ式時計が魅力的に感じるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

■グランドセイコー“9Fキャリバー”の凄さ!

↑9Fキャリバー

 

では、本題の「9Fキャリバーの凄さ」を紹介します。

 

 

①精度が凄い!

 

以下で、9Fキャリバーと一般的なクォーツムーブメントの精度を比較します。

 

 

・一般的なクォーツ式: 「月」に±15秒ほどの誤差

 

・9Fキャリバー: 「年」に±10秒ほどの誤差

 

 

「年差」時計である9Fキャリバーは、厳選された水晶のみを使用して高精度を実現しています。そのため、一般的なクォーツ式よりも高精度です。ただし、高精度については、唯一無二の存在ということではありません。精度面だけにフォーカスすると、シチズンの上位モデルやブライトリングのスーパークォーツなど同等の精度を誇るクォーツも存在します。

 

しかし私は、9Fキャリバーの凄さを「精度へのこだわり」に見い出します。つまり、「精度が高いこと」は基本スペックであり、その上で、さらにプラスアルファの「精度へのこだわり」を見せるのです。

 

その「精度へのこだわり」の実例が、9Fキャリバーにしかない「緩急スイッチ」です。機械式で言う緩急針の役割を持ち、誤差の傾向から「+」「−」で遅れと進みを調整することができるのです。つまり、そもそも精度が高いのに、さらに精度が追い込めるのが、9Fキャリバーです

↑緩急スイッチ

 

さらに、「精度へのこだわり」別の例として、「バックラッシュオートアジャスト」が挙げられます。秒針は1秒ごとに「動いて止まる」という動作を行いますが、実は、秒針の1秒ごとの「止まる」動作時に“針ぶれ”が伴います。これは歯車の“遊び”のために起こることで、ある意味仕方のないことです。しかし、例えばスポーツの体操競技などでは、“ピシッと止まること”が良いことと評価されます。完璧を目指すセイコーは、9Fキャリバーでも“ピシッと止まること”を目指しています。つまり、秒針の1秒ごとの動きに対して、“ブレーキ機能”を設けているのです。“正確な1秒を刻むこと”にこだわっているからこその機構と言えます。

 

 

 

②強いトルクが凄い!

 

別の9Fキャリバーの凄さとして、「トルクの強さ」が挙げられます。前述のように、一般的なクォーツ式は大きな針を動かすことが苦手です。そのため、“軽い・薄い・細い針”を採用せざるを得ません。そうすると、針の高級感はもちろん、形やデザインも制限される傾向にあります。

 

この解決策として、9Fキャリバーは「ツインパルス制御」を採用します。通常、クォーツ式の秒針は、1秒を1ステップで運針します。しかし9Fキャリバーは、1秒を2ステップで運針します。力の弱いクォーツ式の弱点を克服するために、倍の信号を送ることで、重たい針や歯車を制御する“馬力”を獲得したのです。この機構により、グランドセイコーにとって重要な“高級感”や“見やすさ”を実現できる針を採用できるのです。

↑高級感と見やすさを実現できる針

 

 

ここまでで、9Fキャリバーが“精度”と“トルク”に優れたクォーツムーブメントであることを紹介しました。それらが、9Fキャリバーの凄い点です。特に、“針が力強く動き、ピシッと止まる”魅力は、実物を見ていただくと分かりやすいと思います。しかし、これらの技術は決して簡単なものではありません。これは、セイコーが業界内でクォーツ式ムーブメント開発の第一人者であるから実現していることなのです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

グランドセイコーの9Fキャリバーの凄さは、もちろんグランドセイコーの公式ホームページにも紹介されています。しかし私は、敢えてこの時計ブログ“トケイ通信”で、9Fキャリバーを取り上げようと思いました。

 

なぜなら

 

世間に9Fキャリバーの凄さがちゃんと伝わっているのか?

 

と疑問を感じているからです。

 

 

私は、時計業界に携わる中で、「やはり多くの人は、ロレックスなどの“舶来時計”に目が行きがち」だと感じています。そして、時計が高級になればなるほど、多くの製品は“機械式時計”になり、“クォーツ式時計”が選択肢から減っていきます。そのため、高級時計選びにおいては、「クォーツを選ぶ」という考えがなくなってしまう現状にあります。そこで、高級時計選びに“高級クォーツ式時計”という別の選択肢があることを知ってもらうために、この記事を書こうと思いました。

 

そして私は、クォーツ式時計は「さらに工夫ができる」と考えています。例えば私の勝手な思いつきですが、美しいクォーツムーブメントを搭載してシースルーバックにする「クォーツ裏スケ」、さらに、強いトルクのクォーツムーブメントで挑む「パワーリザーブ表示クォーツ」などといったモデルも考えられるのではないでしょうか?

 

そう、私はもう一つ先のクォーツ式時計に期待しています。クォーツショックの発端となり、時計業界の歴史に大きな波をつくったセイコーだからこそ、是非とも次世代の新たなクォーツ式モデルを期待したいと思います!

 

 

 

 

 

※1・・・「機械式時計」とは、ゼンマイで動く伝統的な機構の時計です。ロレックスの多くのモデルで採用される「自動巻式」や、パテックフィリップの薄型モデルなどが採用する「手巻式」があります。

 

※2・・・当社のオンラインストアや店頭での商品表記には、搭載ムーブメントが分かる表記が含まれています。頭の数字がムーブメントを表現していますので、「9F」で始まる表記のものが9Fキャリバー搭載モデルです。

 

例:「9F62-0AB0/SBGX063」

 

 

 

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