14.6.2020

グランドセイコー｜スプリングドライブにはどんな種類があるの？　～9Rムーブメントを理解する～

Komehyo

SEIKO

ブログ担当者：須川

■グランドセイコー｜スプリングドライブにはどんな種類があるの？　～9Rムーブメントを理解する～

グランドセイコーにも使われる、セイコー独自のムーブメント機構「スプリングドライブ」。

今回は、このスプリングドライブの種類を紹介いたします。

↑スプリングドライブのグランドセイコー

急に「スプリングドライブ」という用語を出しましたので、この機構を知らない方にとっては、「何のこと？」という反応になるかもしれません。

少し補足をすると、スプリングドライブは、機械式時計とクォーツ時計の「良いとこ取り」をしたタイプです。自動車に例えるなら、電動モーターとガソリンエンジンを併用した“ハイブリッドカー”のような存在かもしれません。

詳しくは過去の投稿で紹介していますので、是非、ご覧ください。

↓↓↓

「セイコーの持つ世界に勝る技術「スプリングドライブ」とは？〜グランドセイコーの世界進出〜」

そして、「スプリングドライブのグランドセイコー」には種類があります。もちろん、そのモデルごとの違いが、文字盤カラーや素材などの“外装の違い”であれば、すぐに分かるでしょう。しかし、内部のムーブメントの違いについては、分かりづらい要素になっている気がします。

そこで、今回は、「グランドセイコーのスプリングドライブムーブメントの種類」を紹介します。

■スプリングドライブムーブメントの種類

セイコーが作る時計には、いくつかのブランド（シリーズ）があります。いくつかブランドがある中で、スプリングドライブは、「グランドセイコー」「クレドール」「ガランテ」「プロスペックス」などの一部のブランドでのみ採用されています。その中でも今回は、グランドセイコーに限定して取り上げます。

グランドセイコーのスプリングドライブムーブメントですが、「9Rキャリバー（9Rムーブメント）」と呼ばれています。これは、ムーブメントの名前（キャリバー名）が、「9R～」という名称ですので、そのように呼ばれているのです。

下に、9Rキャリバーの種類をまとめましたので、ご覧ください。

これを見ていただくと、9Rキャリバーは大きく分けると、「手巻」「自動巻」「GMT」「クロノグラフ」に分けることができることが分かります。そして、スペック面では、持続時間（ゼンマイの最大持続時間）や月差（一ヶ月で何秒誤差がでるかの目安）の違いも存在します。次で、説明をします。

①手巻スプリングドライブ

→9R01、9R02、9R31

「手巻スプリングドライブ」は、腕の動きでゼンマイが巻き上がる“自動巻ローター”を備えないタイプのことです。そのため、ゼンマイの巻上げは、リューズ操作で行います（※1）。

これまで、グランドセイコーのスプリングドライブには、ずっと手巻モデルがありませんでした。しかし、最近は、ハイエンドなモデルや特別なモデルに、手巻スプリングドライブを加えました。しかし、これらはあくまで特別なモデルですので、通常、皆さんが選択肢にすることは少ないでしょう。その存在を知っておくぐらいで十分かもしれません。

②自動巻スプリングドライブ

→9R65、9R15、9RA5

「自動巻スプリングドライブ」が、スプリングドライブの最も一般的なタイプでしょう。基本は、時刻表示の針以外に、日付とパワーリザーブインジケーターが付きます。手巻とは異なり、“自動巻ローター”が装備されますので、腕の動きでゼンマイが巻き上がります。

一般的なタイプは9R65ですが、月差が5秒ほど改善された高精度版の9R15も存在します（どちらも最大持続時間は3日間）。また、2020年には、新たなスタンダードになるであろう9RA5が発表されました。9RA5は、持続時間が5日間まで伸び、高精度で、厚みも1mm弱薄くなりました。

③GMT スプリングドライブ

→9R66、9R16