高級腕時計の時計通信

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4.12.2015

【時計の名作を知る】初心者がつけても玄人感を出せる時計! IWC「マークXII」 ~独特のオーラを持つマーク12~

Komehyo

ブログ作成者:篠田

 

 

1994年、IWCから名作腕時計が誕生しました。その名は「マークXII(マーク12)」。マークシリーズはIWCの中でも高い人気を誇り、現在もなお生産されているシリーズです。以前のブログ(完成されたデザインと実用性を持つ IWC「マークXV(マーク15)」)でも少し語っていますので、是非ご確認ください。当ブログでは「ネクストヴィンテージ」というシリーズブログを展開しています。これは90年代前後に生産されたものを中心とした廃盤品の中から「銘品」といわれるものをピックアップし、事実と主観を交えながら綴るシリーズブログです。

 

今週はこの「ネクストヴィンテージ」に相応しい時計、IWC「マークXII(マーク12)」を紹介いたします。なぜこの時計なのか?それは私が一番好きな時計だからです!このブログを読んでいただいて、マークXIIを好きになる方が増えれば嬉しいです。

 

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(マークXIIを好きになる方が増えて欲しい!)

 

 

 

 

◆近年のマークシリーズのデザイン比較

①フェイス

マークシリーズはアラビア数字のインデックスが特徴です。マークXIIのインデックスは無駄のないすっきりしたデザインですが、現行モデルのマークXVII(マーク17)や先代のマークXVI(マーク16)のインデックッスは丸みを帯びておりアラビア数字も大きなものとなっています。現行モデルの方が「インデックスの視認性向上」という点は良くなっていますが、個人的にはマークXIIのすっきりと並んだ「硬派なイメージ」のインデックスが好きです。マークXIIは長針と短針の形もアルファ針の現行モデルとは異なり、長針は細く、短針は長方形です。文字盤全体と針の大きさのバランスも素晴らしいです。フェイス部分のデザインは「マークXII≒マークXV」「マークXVI≒マークXVII」という構図が見えます。

 

②サイズ

マークXIIのケース径は約36.5mmと現在のスタンダードから見ると比較的小ぶりなサイズです。最近は40mmオーバーのケース径の時計を良く見かけますが、細身な我々アジア人がそれらを着けると、腕時計がその存在を「主張」するように感じます。以前のブログで、38mmのマークXVを紹介いたしました。そのケース径は「細身の日本人にジャストフィット」というサイズ感でした。それ以上に小ぶりなマークXIIは、マークXVから更に時代を過去に巻き戻したようなヴィンテージ時代のサイズ感です。そんなコンパクトなマークXIIは腕にとても良く収まるサイズで、むしろ少し小さく感じるかもしれません。そのサイズ感がゆえに、もし高級時計初心者の方がマークXIIをつけたとしても、「玄人感」が出ると思います。個人的な意見を述べると、私は主張しすぎないぐらいのサイズ感がとても好きです。スーツの袖から時折見えるすっきりしたフォルムがとても格好良いです。ただし誤解のないように述べますが、極論としてケースサイズは好みの問題です。大きいサイズの時計も存在感があり素晴らしいですし、また逆も然りです。

 

③ブレスレット

マークシリーズには革バンドモデルもラインナップされていますが、今回はマークシリーズの個性をより表現できるメタルブレスレットモデルにフォーカスいたします。ブレスレットは11連駒の滑らかなものになっています。後継機であるマークXVにはブレスレット形状にバリエーションがありましたが、マークXIIはこの11連駒の種類しかありません。付け心地はとても秀逸です。かつての編みこみ式ミラネーゼブレスと現代のブレスの中間のような存在であり、他のブランドではあまり見ないデザインです。IWCのデザイン性の高さが伺えるのではないでしょうか。私は文字盤のデザインとともに、この少し古風なブレスレットから感じられる無骨さがとても格好良くて好きです。なお、マークXVIIにはボタン操作でブレスレットの長さ微調整ができる機能がありますが、マークXII~XVIにはありません。

 

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 (マークVII[型式IW324102]と11連ブレスレット)

 

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(マークXV[型式IW325307]と中期ブレスレット)

 

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(上左:マークXVI[型式IW325504]、上右:マークXVII[型式IW326504])
※ブレスレット画像はマークXVIIのもの

 

 

 

 

◆最大の特徴は「キャリバー884/2」!

マークXII最大の特徴は中身、つまりムーブメントにあります。マークXIIよりも前のモデルには、Cal.83やCal.89という自社ムーブメントが搭載されていました。そして、マークXIIより後のモデルにはETA社の2892A2ベースのムーブメントが搭載されています。では、マークXIIはどのムーブメントが搭載されたのでしょうか?実は、ジャガールクルトのCal.889をベースにした「Cal.884/2」が搭載されています。マークXIIがジャガールクルトのムーブメントを搭載している理由は、「当時経営危機に陥ったジャガールクルト社を救うため、IWCがムーブメントの供給を受けた」と言われています。この話がどこまで本当かは分かりませんが、これを信じた場合に「なぜIWCがジャガールクルトを救わなければならないのか?」と疑問が沸き起こります。実は、当時IWCとジャガールクルトはどちらも「LMH」という組織に所属しており、先の疑問の回答は「同じグループ会社だったから」ということが想定できます。当時LHMで手腕を振るったカリスマ経営者ギュンター・ブルームライン氏のファンの方であれば、このあたりの事情はお馴染みだと思います。

 

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(Cal.884/2のベースとなったジャガールクルトのCal.889)

 

Cal.889の特徴としてまず「薄さ」が挙げられます。厚さは3.25mmととても薄いです。IWCは「剛」のイメージがあり、どちらかと言えばケースが分厚いイメージがあります。しかし、マークシリーズは耐磁性のためにムーブメントを軟鉄製のインナーケースで覆うのですが、ベースムーブメントがとても薄いためにマークXIIのケースは薄いと感じます。この薄さが付け心地の良さやすっきりとしたデザイン性を作り上げています。デイト表示にも特徴があります。日付が変わる瞬間は眼で追えないほどのスピードで、「カチッ」と一瞬で切り変わります。特にCal.889は日付切り替えのためのバネが強いように感じます。個人的にはこの瞬間がとても好きです。やはりマークシリーズの中でも特別なキャリバーを搭載していると言う特別感が得られると思います。ちなみにCal.889をベースにしたムーブメントはオーデマ・ピゲやヴァシュロン・コンスタンタンなども採用しており、このムーブメントを「高級ムーブメント」と評価しても差し支えないはずです。やはり、生産終了になった今でもマークXIIが時計愛好家に人気である大きな理由の一つとして、「ジャガールクルトのCal.889を搭載している」という点は外せません

 

 

 

 

 

ここまでにマークXIIの外装と内部について述べさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?正直なところ、マークXIIの良さの全てを言葉だけで伝えるのは困難を極めます。なぜならば、マークXIIが醸し出す「独特なオーラ」は直に対面しないと伝わらないからです。皆さんも、マークXIIと直に触れ合う機会があれば、是非腕につけてみて下さい。その「独特のオーラ」を纏ったマークXIIを腕に置いた瞬間、周りの方はマークXIIに触手を伸ばすあなたを見て、きっとこう思うはずです。「時計玄人の方だ!」と。それが時計初心者の方であってもです。

 

 

 

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