高級腕時計の時計通信

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7.8.2015

完成されたデザインと実用性を持つ IWC「マークXV」 ~玄人からも高い評価を受けるマーク15~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

私は仕事柄よく他の人の着けている時計に目が行くのですが、その中でも私が着けている方のセンスの良さをいつも賞賛するモデルがあります。それはIWCの銘品「マークXV(マーク15)」です。今週はシリーズブログ「ネクストヴィンテージ ※1」の第5回目として、多くの時計スタッフからも評価の高いIWCの「マークXV」を紹介させていただきます。革バンドとメタルバンドの両方がラインナップされていますが、今回は特に評価の高いメタルバンドのタイプにフォーカスして話したいと思います。

 

↑マークXV:IW325307

 

 

 

 

       

■IWCの誇る「マークシリーズ」

 

IWCのパイロットウォッチといえば「マークシリーズ ※2」が有名です。1948年に登場する「マークXI(マーク11)」、1994年の「マークXII(マーク12)」、1999年の「マークXV(マーク15)」、2006年の「マークXVI(マーク16)」、2012年の「マークXVII(マーク17)」と系譜を重ねて現在に至ります。実際に軍に納品された軍用時計として、名声を得た作品です。高い視認性・耐磁性・耐加重性・精度をもっており、パイロットウォッチに必要なスペックが備わっているため、民間人である私たちのデイリーユースには非常に満足感の高い時計だと思います。  

 

その高いスペックの中でも、現代の私たちに嬉しい要素は「耐磁性」だと思います。軟鉄製インナーケースがムーブメントを覆っており、40,000A/mの耐磁性があります(マークXV)。携帯電話に時計を密着させると20,000A/m以上の磁気の影響を受ける可能性がありますので、一般的なISO規格の時計(1,600A/m)や1種規格の時計(4,800A/m)では心もとない時代です。現代は磁気を受けやすい環境と言えますので、高い耐磁性があれば時計の磁気帯びを防ぐことができ、安心して日常使いができます。        

 

 

 

 

 

 

■日本人に馴染みやすい「マークXV」

 

マークXVはケースの径が38mmです。シリーズの他のモデルを見ると、約36.5mmのマークXII、39mmのマークXVI、41mmのマークXVIIとも異なったサイズです。38mmというと、1990年代の男性標準サイズという印象があります。現在の標準からすると小ぶりとも言えますが、私は日本人の細身な方は37~38mmのサイズが最も使いやすいという持論を持っています。特にメタルバンドの場合、時計をよりマッシブに見せてしまうため、38mmというサイズは私の理想のサイズです。スーツに合わせた際も、そのサイズは主張し過ぎずに腕に収まってくれます。  

 

マークXIIはジャガールクルトCal.889ベースのムーブメントでしたが、マークXVからはETA2892A2ベースのムーブメントです。ETA2892A2は、IWCがETA社に対して「IWC基準」に合うようにスペックアップを要望してできたムーブメントと言われています。つまり、「ETA2892-2」が「ETA2892A2」に改良されたのは、IWCの要望であると言われています。IWCが主力ムーブメントとして使うのも頷けます。更に、インナーケースを採用するマークシリーズにとっては、厚みのあるムーブメントにすると、ケースの厚みも増してしまいデザインバランスを崩してしまいます。厚み3.6mmのETA2892A2はうってつけのムーブメントだと思います。  

 

大ヒットしたマークXII以上にロングセラーであったマークXVには、新旧を含めたいくつかのバリエーションがあります。少しマニアックな話になりますが、紹介いたします。      

 

 

 

 

 

 

■「マークXV」のバリエーション

 

①白文字盤の存在

歴代のマークシリーズにはない白文字盤が存在します。今振り返ると希少なバリエーションと言えます。

 

拡大画像 20150807 172157

( 白文字盤:IW325310)

 

 

②メタルバンドの新旧

初期:マークXIIと同じテイストのブレスレット。11連駒の腕馴染みに優れたタイプ。

 

拡大画像 20150807 174111  

 

中期:結果的にマークXVにしか採用されなかったタイプのブレスレット。駒表面はなだらかにカーブしている。

 

拡大画像 20150807 173255  

 

後期:マークXVIと同じテイストのブレスレット。表面がフラットになり、エッジが効いたデザインに。

 

拡大画像 20150807 173701  

 

 

 

③夜光塗料の変更

:トリチウム夜光(自発光) → ルミノバ夜光(蓄光)

トリチウムの発光には寿命があり、何年も経過すると光らなくなります。ただし、エイジングして色焼けした感じになり、ヴィンテージ感がでます。ルミノバの場合には基本的に発光寿命はありませんが、エイジングもないためエイジングを楽しむことはできません。

 

IWC 3253-002拡大画像 20150809 103114

↑「SWISS MADE」印字の横に

「T」印字があるのがトリチウム夜光

 

 

 

 

 

上で紹介したように、マークXVにはバリエーションがあります。メタルバンドの種類は見た目に最も影響がありますので、重要な要素だと思います。私の個人的なおすすめは、中期のブレスレットです。初期ブレスレットもすばらしいのですが、ヴィンテージテイストが強くなってしまい個性が強くなります。他方、後期ブレスレットは、より現代的な仕様で丈夫に設計されていますが、フラットな仕様はより生産性を考慮したようにも受け取れます。それらと比較して、なだらかなカーブがある中期ブレスレットは「人の手が入った」感じがし、個性的すぎないので様々なファッションにマッチしやすい仕様だと思います。  

 

夜光塗料も、「テイスト」を重視するか「実用性」を重視するかで好みが分かれるところだと思います。私は「実用性」を重視した「ルミノバ派」です。    

 

私のおすすめはあくまで個人的な意見ですので、皆さんは、それぞれの価値観で評価していただければ良いと思います。ただ、私がマークXVに惹きつけられるのは「バリエーションを選べる楽しさ」だけではなく、「着けている人を上品に見せるそのデザイン性」です。控えめでありながら、程よい個性を持っている「マークXV」は、時計玄人からもハイセンスな時計として高い評価をされています。皆さんも、実物を見る機会があれば、是非その完成されたデザインと実用性を持つ「マークXV」に着目してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

※1・・・90年代前後に生産されたものを中心とした廃盤品の中から「銘品」といわれるものをピックアップし、事実と主観を交えながら綴るシリーズブログ

 

※2・・・「マークIX」、「マークX」と呼ばれるモデルは、時代を経て後から呼ばれるようになった名称ですので、今回は系譜から省かせていただきました。

 

 

 

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