高級腕時計の時計通信

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29.4.2016

腕時計を長持ちさせる秘訣は「防水」を知ること! ~防水時計は2種類ある!?~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

皆さんも腕時計を購入したときに、「防水性」のことを時計販売員から説明されたはずです。

 

「この時計は生活防水です」、「この時計は100m防水です」、「この時計は10気圧防水です」などと説明を受けたことが頭の片隅に残っているのではないでしょうか。ただ、購入する側としては、時計を購入して気分が高揚している最中に、聞き慣れない「防水についての用語」を説明されてもピンとこないかもしれません。しかし、時計の販売員が必死で防水性について伝えようとしていることには理由があります。

 

それは、本来「時計は水に弱い」からなのです。  

 

つまり、私たちのお気に入りの時計を良い状態で長持ちさせるためには、「時計内部に水分を侵入させないこと」がとても大事なのです。 しかし、所有者が自分の時計の防水性と防水構造を知らないと、ちょっとした油断で簡単に時計内部に水分が入ってしまいます。そうなってしまうと大変です。目に見える症状としては、ガラスが曇り、針や文字盤が腐食します。さらに深刻なのは、目に見えない部分であるムーブメントに錆びや腐食が起こり、機能面にまで影響を及ぼします。やはり、そのような惨状にならないためには、私たちが時計の防水について基本的な知識をもつことが大事です。  

 

今週は、時計のコンディションを保つ秘訣が「時計内部に水を侵入させないこと」である前提のもと、防水に関する基礎知識を紹介いたします。ただし、その基礎知識が意外にも知られていないので、是非、最後まで読んでみて下さい。  

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↑防水性について知ることが大事

 

 

 

 

 

 

■防水時計は2種類ある!

 

「防水についての知識」と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。確かに「○○m防水」、「○○気圧」、「エスケープガスバルブ」など専門用語があるので、ある程度の知識がないと防水について理解できないことも事実です。ただし、「防水」知識は得ると奥深くてとても面白い知識です。この知識を身につけると、皆さんの時計の選び方も変わるのではないでしょうか。  

 

では、ここからは防水に関わる用語を解説していきます。  

 

まずは“防水性の表記”についてです。よく見かけるとは思いますが、時計の裏蓋、文字盤、または説明書などに防水性能を表す表記があります。この表記から防水性の強さが分かります。ただし、ここで注意したいポイントは防水時計は2種類あるということです。

 

それは、“一般用防水”と“潜水用防水”です。

 

簡単に言うと、「ダイビングができるかどうか」で線引きされて2種類あります。潜水用防水の時計であればダイビングで使用できますが、一般用防水の時計はダイビングで使用できません。つまり、一般用防水は防水が強いものでも水泳やシュノーケリングまでです。ボンベを背負うような潜水はしないで下さい。  

 

ISO規格やJIS規格でその2種類の防水の表記方法が決められており、一般用防水なら「Water Resistant○○m(bar)」潜水用防水なら「Diver’s○○m」と表現します。しかし、この表現規則に従っていないメーカーも多くあり、実際にはいろいろな表現方法がされています。下で、代表的な表現方法を紹介いたします。  

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↑文字盤に防水性能の表記がある例

 

 

 

<防水性能を表すよくある表現>

 

「m(メーター)」

数値の水深の水圧に耐えうる防水性能を意味します。ただし実際その水深にいる場合には、水中で腕を動かすはずですので、その水深地点以上の水圧がかかると考えましょう。潜水用防水の場合は、表示数値の25%増しの水圧に耐えれるようになっていますので、安心感が増します。

 

 

「気圧(bar / ATM)」

しばしば「1気圧=10m」という変換で考えられます。しかし厳密に言うと、「気圧」表現は一般用防水で使用する表現であり、潜水用防水には使用しない表現です。つまり、「気圧」表現はダイビングをしない一般用防水時計のための専用表現と言えます。10気圧を超える防水は水中使用が可能です(潜水は不可)。そのため、10気圧(または100m)を超える防水性をもった時計を「防水時計」と表現することが一般的です。

 

 

「生活防水(WATER RESISTANT / W.R.)」

一般的には2~8気圧の一般用防水の時計で使用される表現です。弊社では3気圧以上を基準にしています。汗、雨など日常の水滴レベルに耐えれる防水性です。一般の方に具体的な防水性を数値で表現しても難しいと判断して、敢えて「ざっくりとした表現」をする場合に使われます。例えば、ファッションブランドの時計を買いに来た方に対して、「3気圧防水です」と伝えるより「生活防水です」と伝えた方が理解されやすいと思います。分かりやすさを重視した表現と言えます。

 

 

「非防水」 

文字通り「防水性のない」時計に使う表現です。基本的に時計本体には防水についての刻印や印字がされません。非防水の時計は、ドレスウォッチなど室内でしか使わない想定で作られた時計に多いのが特徴です。防水性がない分、ドレスウォッチらしい薄さやエレガントさなどが実現できます。

 

 

 

 

 

 

「エスケープガスバルブ」とは何?

 

潜水用防水時計の一部には「エスケープガスバルブ」という機構がついています。これは飽和潜水時にヘリウムのガスを抜く機構です。深海での作業時などでしか活躍しませんので、私たち一般人は通常使う機能ではありません。

 

しかし、意味をよく分からないまこのバルブを操作してしまうと、防水性が落ちてしまうので注意が必要です。別のブログ「やっていませんか? 腕時計の危険な使い方」でも少し紹介していますが、今回はもっと詳しく述べさせていただきます。  

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↑エスケープガスバルブ

画像はロレックス「116660」

オメガ「212.30.41.20.01.003」

 

例えば100mクラスの深海に私たちが行くと、潜水病の危険があります。そこで考案されたのが“飽和潜水”と呼ばれる技術で、その技術により安全に長時間深海に滞在ができます。

 

そして、その飽和潜水には、窒素中毒を避けるために呼吸に“ヘリウムを使用した混合ガス”を使用します。そのヘリウムは、時計の防水機構を越えて時計内部に侵入することができます。かつては深海への潜水で時計を使用した際に、時計の内部に残ったヘリウムが地上に戻るための減圧時に膨張し、時計を破損させるという事故が多発したそうです。そこで開発された機構がヘリウムのガスを抜く「エスケープガスバルブ」です。  

 

エスケープガスバルブにも種類があります。上の画像のロレックスに採用されるような「自動式」のガス抜き構造もあれば、同じく上の画像のオメガのような「手動式」のガス抜き構造もあります。自動式であれば特に操作の必要はありませんが、手動式は操作の必要があります。操作方法はシンプルで、深海からの地上に戻る時(ベルと呼ばれるカプセルで移動し、再圧タンクと呼ばれる施設内で減圧する)にねじ込まれた手動エスケープガスバルブを緩めるて解除するだけです。よく防水時計に採用される「ねじ込み式リューズ」と同じような操作ですので、イメージできる方も多いのではないでしょうか。

 

ここで重要な点は、エスケープガスバルブは水中ではなくタンク内で使用するので「エスケープガスバルブ解除時は高い防水性が不要」ということです。つまり、エスケープガスバルブ解除時は防水性が弱くなっているという点は知っておいて下さい。もし、手動式のバルブを解除したままにすると生活防水レベルになっているので、水が浸入する可能性があります。          

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

いかがでしたでしょうか?防水に関する知識は意外に知られていないことが多いので、初耳という方も多かったのではないでしょうか。私も多くの時計を見る中で、水分が入った時計の内部を見たときの惨状は見るに耐えません。簡単なメンテナンスではどうしようもない状態になっています。

 

「水の浸入」は、他の時計の弱点である「磁気」や「衝撃」で受けるダメージを遥かに上回るダメージを時計に与えます

 

時計を長く愛用したい方は、是非、防水に対する基礎知識を知っておいて下さい。「水の侵入」を防ぐことが時計コンディションを保つのですから。   最後に防水に関するメッセージをひとつ。時計には部品の隙間にパッキンがあります。そのパッキンの劣化により、時計の防水性は時間とともに低下します。ご注意ください!        

 

 

 

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