高級腕時計の時計通信

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17.5.2022

高級時計の人気ジャンル「ラグスポ」とは? ~ラグスポは他の時計と何が違う?~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

現在の高級時計の人気ジャンルは、「ラグスポ」です。ラグスポの時計は、テレビや雑誌などのメディアに取り上げられることも多く、時計好きにはまさに話題の中心になっているでしょう。

↑ラグスポは高級時計の人気ジャンル

 

しかし、これはあくまで、時計が好きな方の間での話です。一般的には、「ラグスポ」という言葉を聞いても、「ラグスポって何ですか?」と思う方が普通かもしれません。

 

そこで今回は、「ラグスポ」について解説させていただきます。

 

 

 

 

 

 

■「ラグスポ」とは?

 

ラグスポ」は、「ラグジュアリースポーツ(ウォッチ)」を略した言葉です。これは言葉尻を捉えると、「豪華なスポーツウォッチ」というニュアンスで理解できるでしょう。しかし厳密には、「ラグスポ」という言葉の厳密な定義はなく、メディアや業界がおおよその共通理解で使っている状況です。

 

おおよその定義で使われている「ラグスポ」ですが、実は、使い方によって、その対象が少し変わります。それは、「ラグスポ」という言葉の解釈がいくつかあるからです。では、その「ラグスポ」という言葉のニュアンスをお伝えするために、いくつかの解釈を紹介します。

 

 

 

 

①超高級メーカーが作ったステンレス時計

 

例えば、ラグスポの代表モデルは、ロイヤルオーク(オーデマピゲ)とノーチラス(パテックフィリップ)でしょう。

↑ロイヤルオーク

↑ノーチラス

 

これらのモデルはラグスポの元祖と言われています。このモデルに注目したときのラグスポのニュアンスとしては

 

「普段はゴールド素材でラグジュアリーな時計を作る超高級メーカーが、敢えて”ステンレス素材”スポーティな時計を作った」

 

という感じです。

 

つまり、「超高級メーカーが作ったステンレス時計」という解釈が、ラグスポのひとつの解釈です。

 

例えば、パテックフィリップは、本来、下の画像のようなドレッシーなゴールド製の時計を作っているイメージです。こちらがパテックフィリップの「伝統」です。そして、1970年代から、ステンレス素材でスポーティな時計を作るようになりました。これは、パテックフィリップにとって、「新たな挑戦」という位置づけになるでしょう。私のイメージでは、「世界最高のオーケストラが、大衆音楽に本気で取り組んでいる」ような面白さを感じます。

結果として、ロイヤルオークやノーチラスによって、従来のスポーツモデルがもつ「性能と実務性に合わせたデザイン」という殻が打ち壊され、「スポーティとドレッシーを併せ持つデザイン」が確立されました。

 

この「超高級メーカーが作ったステンレス時計」というタイプのラグスポを他に挙げると、オーヴァーシーズ(ヴァシュロンコンスタンタン)やオデュッセウス(ランゲ&ゾーネ)が該当します。

 

 

 

 

②ロイヤルオークやノーチラスに近いデザインを持つ時計

 

その他には、ロレアート(ジラールペルゴ)やアイコン(モーリスラクロア)も、ラグスポの代表格に挙げられています。

↑ロレアート

↑アイコン

 

しかし、ジラールペルゴやモーリスラクロアは、ステンレス素材の時計を主力製品にするメーカーです。そのため、ロイヤルオークやノーチラスの場合の「超高級メーカーがステンレス時計を作った」というニュアンスではなくります。しかしそれでも、これらの時計は「ラグスポ」という範疇で捉えられています。

 

これは、ロレアートやアイコンが、ロイヤルオークやノーチラスに近いデザインで作られているからです。例えば、“ケースから流れるように連結するブレスレット”や、“立体感のあるベゼル”などは、その特徴だと言えます。他には、シャープなエッジを持たせたり、サテン仕上げとポリッシュ仕上げの両方を上手に使う点も、ロイヤルオークやノーチラスのデザインコードに合致します。

 

つまり、ロレアートやアイコンのようなモデルに使われる「ラグスポ」は、「ロイヤルオーク・ノーチラス系デザイン」というニュアンスで使われているのです。

 

この「ロイヤルオークやノーチラスに近いデザインを持つ時計」というタイプのラグスポを他に挙げると、BR05(ベル&ロス)、デファイ(ゼニス)などが該当します。

 

 

 

 

③高級スポーツウォッチ

 

ここまでで紹介した2つのタイプが、ラグスポの主な解釈ですが、実は、その他の解釈も存在します。

 

例えば、デイトナ(ロレックス)、ビッグバン(ウブロ)なども、「ラグスポ」として語られることがあります。

↑デイトナ

↑ビッグバン

 

このようなモデルに使わる際の「ラグスポ」の解釈は、純粋に、「高級なスポーツウォッチ」「スポーツモデルのハイエンドモデル」というニュアンスです。つまり、“スポーツウォッチの上級機種”という使い方です。この場合、「ラグスポ」という言葉を広義に捉えていると感じるのですが、私の感覚としては、「トレンド感がある」という前提が含まれているように感じます。そのため、サイズ・スペック・デザインが、今風であるものを対象にしていると感じます。

 

この広義な解釈の場合、元々の「超高級メーカーが作ったステンレス時計」や「スポーティとドレッシーを併せ持つデザイン」という縛りはなくなります。例えば、ステンレス素材でなく、「ゴールド素材」や「新素材」で作られるモデルも多くありますし、ドレッシーさが少ない「重量級デザイン」であることもしばしばあります。もちろん、ロイヤルオークやノーチラスのデザインに近い必要もありません。割りと自由度の高い使い方です。

 

例えば、この「高級スポーツウォッチ」というタイプのラグスポは、超高級メーカーのリシャールミルも当てはまるでしょう。

 

 

 

 

 

 

■「ラグスポ」はその他のスポーツウォッチと何が違う?

 

ここまで説明したように、「ラグスポ」にはいくつかの解釈があり、それが入り乱れている状況です。そのため、一般の方から見ると、「ラグスポ」と「スポーツウォッチ」の違いは難しいでしょう。

↑ラグスポ? スポーツウォッチ?

 

例えば、上の画像はブライトリングのコルトクロノグラフですが、これは、一般的にはラグスポとしては扱われていません。しかし、「なぜラグスポでないの?」と聞かれると、回答に困るでしょう。

 

そこで、ラグスポをより理解するヒントになるように、ここではラグスポとその他のスポーツウォッチの違いを説明します。

 

ただし、先に紹介したラグスポの3つの解釈のうち、「高級スポーツウォッチ」という広義の解釈が入ると、より混乱することになりかねません。そこでここからは、ラグスポをより狭義な解釈に設定、つまり、「超高級メーカーが作ったステンレス時計」「ロイヤルオークやノーチラスに近いデザインを持つ時計」という意味として、話を展開していきます。

 

 

 

では、結論から言います。私が考える、ラグスポとその他のスポーツウォッチの最大の違いは、

 

「ドレッシーを目指しているかどうか」

 

にあると思います。

 

例えば、元祖ラグスポのひとつであるロイヤルオークは、ヨットの運転席で着けても、高級クラブで着けても合うように作られています。そのためには、スポーティさの中に“ドレッシーさ”を入れ込まないといけません。つまり、「ドレッシーの要素を加えようとしているスポーツモデル」こそが、本来的なラグスポなのです。

 

先に挙げたブライトリングは「ラグスポではない」としましたが、これは、デザインを見ると”ドレッシーさ”を取り入れようとはしていないモデルだからです。

 

ただし、“ドレッシーさ”というあいまいな要素では、なかなか判断が難しいでしょう。そこで、より具体的な違いを見るポイントを挙げます。それは、

 

「厚みを抑えようとしているか」

 

です。

 

「ドレスウォッチは薄く作る」というセオリーがあるように、厚みとドレッシーさは関係性があります。そのため、「厚いか、薄いか」という基準は、とても分かりやすい指針になります。

 

大雑把な解釈としては、

 

薄い=ドレッシー=ラグスポ

 

という認識で大丈夫だと思います。

↑ラグスポ=薄い

 

ただし、これには「どのぐらいが厚く、どのぐらいが薄いのか」という判断をしなければなりません。そこでまずは、基準となる数値として、ロレックスウブロの厚みを紹介します。

 

 

 

<スポーツウォッチの厚み>

 

・ロレックス(一般的な男性用)

12㎜(スポーツモデルとして普通の厚み)

 

・ビッグバン(ウブロ)

14.6㎜(厚みがあるスポーツモデル)

 

 

私は、これが、スポーツウォッチの基準となる厚みだと感じます。イメージとしてはロレックスを着けたときは「厚くも薄くもない」と感じますので、12㎜は丁度よいサイズなのでしょう。そして、ビッグバンを着けたときは「厚みがある」と感じますので、14.6㎜は厚いと感じるサイズだと思います。

 

ちなみに、先ほどのブライトリングの厚みは、約15㎜あります。そのため、厚みがあるスポーツウォッチです。

 

では、ラグスポの代表格であるノーチラスの厚みはどうでしょうか。

 

 

 

<ノーチラスの厚み>

 

・初代ノーチラスジャンボ3700(1976年)

7.6㎜

 

・ノーチラス3800(1981年~)

8㎜

 

・ノーチラス5711(2006年~)

8.3㎜

 

・ノーチラスプチコン5712(2006年~)

8.52㎜

 

・ノーチラスクロノグラフ5980(2006年~)

12.16㎜

 

 

ノーチラスは、通常モデルが8㎜前後です。薄いとされる手巻き時計は5~8㎜ぐらいのことが多いので、「手巻き時計よりやや厚いかな」と思える程度です。これは、体感としてもかなり薄く感じます。そして、機能が加わっても、なるべく厚みを抑えようとしていることが分かります。例えば、ノーチラスのクロノグラフは厚みが12㎜強ですが、これは、「ロレックスよりやや厚い程度」です。機能が付いても、この程度に収まるようにしています。

 

感覚としては、スポーティウォッチとしての基準で見ると、

 

・12㎜未満

→やや薄い

 

・10㎜未満

→かなり薄い

 

という感じです。

 

この「薄さを実現したスポーツウォッチ」こそが、ラグスポの典型的な姿です。これが、一般的なスポーツウォッチとの大きな違いです。是非、時計を見る際の参考にしてみてください!

↑ラグスポは薄さを実現したスポーツウォッチ

 

 

 

 

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