高級腕時計の時計通信

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15.11.2018

ロレックスをマニアックに選ぶ! ~「リフォームド・ヴィンテージ」のすすめ~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

今回は、私の主観でおすすめのロレックスを紹介します。

 

しかし、私の感性があまのじゃくなのか、私の考えは「一般的ではない」と感じます。そのため、今回は「マニアックにロレックスを選ぶ」話となるでしょう。あらかじめ、“マイノリティ(少数派)に向けたおすすめ”ということをご理解ください。

 

私がおすすめする狙い目のロレックスは、

 

リフォームド・ヴィンテージ

です。

 

つまり、ヴィンテージロレックスを“リフォーム”して、外装の一部(または全て)を新しい仕様にした個体をおすすめしたいのです。

 

実は、ヴィンテージの世界では「オールニュー」、つまり、「外装の“全て”を新しい仕様にする」という意味の用語が存在します。私はこのオールニューが好きで、非常におすすめです。しかし実際には、ケースを含めた全ての外装が交換されたオールニューは、そんなに数が存在しないでしょう。ただし、私としては、全ての外装が交換されたオールニューまでいかなくても、文字盤、針、ブレスなど、“外装の一部が交換された個体”も十分おすすめ対象です。

 

そのため今回は、

 

・“オールニューのヴィンテージ”

・“外装の一部が交換されたヴィンテージ”

 

の2つを合わせて、「リフォームド・ヴィンテージ」と呼び、両方をおすすめしたいのです。

 

では以降で、「リフォームド・ヴィンテージロレックス」のおすすめ理由を紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

■「ロレックスをリフォームする」って、どういうこと!?

 

皆さんの中にも、「ロレックスをリフォームする?どういうこと?」と思われる方も多いでしょう。

 

簡単に言うと、「メーカーメンテナンスに出した結果、外装が“より新しい仕様”になって戻ってきた」という状況が、リフォームされた状況ということです(※1)。

 

少し説明させていただきます。

 

ロレックスは1905年に創業したメーカーで、もう100年以上も時計作りを行っています。そして、現在の主力となる人気モデルの原型は1940~1960年代ごろには登場しており、もう半世紀以上も同じシリーズを作り続けています。そのため、同じシリーズでも、現在のものと以前のものでは細かな点で仕様が異なります。例えば、以下のような点です。

 

 

 

<ロレックスの主な仕様変更点>

 

①風防

プラスチック風防

  ↓

サファイアガラス

風防(ふうぼう)とは、いわゆる「ガラス」のことです。多くのモデルは、1980年代ごろまではプラスチック風防でしたが、1990年前後以降はサファイアガラスになります。見た目としては、プラスチック風防の方が厚みがありますので、現在のサファイアガラスとは雰囲気が異なります(詳しくは以前の記事をご参照ください→こちら)。

 

 

②夜光塗料

ラジウム

  ↓

トリチウム

  ↓

ルミノバ

  ↓

クロマライト

ロレックスは、暗所でも時刻が読み取れるように、文字盤回転ベゼルのアワーマカー部に夜光塗料が塗布されているモデルが多いです。その夜光塗料の種類の話ですが、以前はラジウムが使われていましたが、1960年前後からはトリチウムに変わります。1990年代後半にはトリチウムが廃止され、ルミノバに変更されます。そして、2007年以降は、より性能の高いクロマライトが登場します。

 

“自発光”のトリチウムは発光に期限があり、だんだん光らなくなります。そして、見た目も変色が進み、いわゆる、夜光塗料の「焼け」が起こります。一方、“蓄光”のルミノバは、半永久的に発光する塗料で、変色はあまり起こりません。そのため、トリチウムの長所は“焼け”がもたらす「ヴィンテージ感」、ルミノバの長所はいつまでも使える「実用性」というイメージです。

 

 

 

③ブレスレット

リベットブレス

  ↓

巻きブレス

  ↓

ハードブレス

※シングルロック→ダブルロック

歴史的に見ても、ロレックスは腕時計に早くから金属ブレス(メタルバンド)を積極採用した先駆的メーカーです。そして、その長い歴史の中でブレスの仕様も変わります。多くのシリーズに採用されるオイスターブレスの場合、以前はリベットブレスが主流でした。しかし、1960年代半ばごろからは巻きブレスに切り替わっていき、1970年代半ばごろからはハードブレスに切り替わります。

 

仕様変更のたびに、堅牢性や調整の簡易性が向上していきます。特に、リベットブレスや巻きブレスは、現在から見ると華奢であり、大きな“たわみ”が起こりやすい状況がありました。ハードブレスになってからは厚みが増し、よりがっしりとした印象があります。

 

 

 

このように、過去のロレックスは仕様が違うのです。その旧仕様を、より新しいものに変えることが「リフォームする」ということなのです。

 

 

 

 

 

 

■リフォームド・ヴィンテージロレックスの魅力

 

では、本題である「リフォームド・ヴィンテージロレックスをおすすめする理由」を説明します。それには、リフォームド・ヴィンテージの魅力を紹介することが一番です。

 

では説明していきます。まず、ヴィンテージロレックスをメーカーメンテナンスに出すと、もう古い部品がないため、必要に応じてより新しい年代の部品に交換されることになります。

 

例えば、ヴィンテージ品の場合、「プラスチック風防・トリチウム夜光塗料・リベット(巻き)ブレス」という仕様が一般的です。それをメーカーメンテナンスに出して、部品交換の対応が可能だった場合を想定します。きっと、プラスチック風防は同仕様で対応されますが、夜光塗料は「トリチウム→ルミノバ」、ブレスは「リベット(巻き)ブレス→ハードブレス」となるでしょう。

 

その結果として、

 

ムーブメントと風防が“ヴィンテージ”、その他の外観が“最近の仕様”に見えるロレックス

 

が誕生します。

その“新旧折衷(せっちゅう)”の様が、なんとも魅力的です。

 

例えば上に画像を用意しました。その下側の画像は、「ハードブレス」と「ルミノバ夜光塗料」にリフォームされたRef.1500(オイスターパーペチュアルデイト)です。この個体の場合、歴史的名ムーブメントと言われるCal.1570(1575を、“現代的な外観と実用性をもつ時計”として使うことができるのです。そして、プラスチック風防ですので、フェイスには一部ヴィンテージ感が残ります。もちろん、ヴィンテージモデルでありながら、夜光塗料も光ります。なんとも魅力的です。

 

この感動を例えるなら、最近登場している“USB接続可能なレコードプレーヤー”に近い印象です。これは昔ながらのレコード盤を再生できる機器でありながら、パソコンやスマートフォン接続ができ、現代の機器で録音もできるのです。つまり、「最近の設備で、古きを楽しむ」という点が、リフォームド・ヴィンテージと似ているのです。上のリフォームされたRef.1500も、現代的な実用時計として使いながら、ロービート機ならではのカチカチと“大股ステップで進む”針の動きを感じることができるのです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

私の“リフォームド・ヴィンテージ”というおすすめは、ちょっとマニアックな意見なので、ピンとこない方も多いかもしれません。それは当たり前です。

 

なぜなら、「多数派の常識」は以下のようなものだからです。

 

“一般の方”の常識

→「製品は新しい方が良い

 

“ヴィンテージ愛好家”の常識

→「ヴィンテージ品は“当時の状態維持”こそが重要

 

 

つまり、私のおすすめするリフォームド・ヴィンテージは、この両者の常識から外れたものなのです。

 

常識に当てはめると、かなりマニアックな意見かもしれません。ただし、私としても配慮はあり、人気と価値が高い“ヴィンテージスポーツロレックス”の価値を落としてまでリフォームすることはおすすめしません。どちらかと言うと、そこまでオリジナルにこだわりが強くない“ノンスポーツロレックス”のリフォームドヴィンテージが良いと思っています。

↑ハードブレスにリフォームされたRef.6694

 

マイノリティ発想の方、リフォームド・ヴィンテージ、いかがでしょうか!

 

 

 

※1・・・リフォーム方法は他にもあり、他の「ドナー」となる個体から付け替える方法、部品を別調達する方法などもあります。

 

 

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