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8.7.2018

【番外編】万年筆のやってはいけない使い方

Komehyo

 皆さんは万年筆を使用する際に気を付けていることはありますか?

 長年万年筆をお使いの方でも意外と知らなかったり、知ってはいるもののつい誤った使い方をしてしまった経験がおありかと思います。また、万年筆を初めて使おうとしている方であれば、そもそも何に気をつけて使用すればいいのか不安に思うこともあるのではないでしょうか。そこで今回は、万年筆を使う上での基礎的なやってはいけない使い方をいくつか紹介したいと思います。

 

 

【キャップは閉めて】

 まず最も基本的なこととして、「使わないときはキャップを閉めて」おきましょう。ほとんどの場合万年筆には水性インクが使われるため、長時間キャップをあけたままにしておくとインクが乾いてしまい、インク詰まりが原因でペン先からインクが出てこなくなってしまいます。その際は水洗いなどでインク詰まりを解消することが基本的な手入れ方法となりますが、無理やりインクを出そうとペン先に強い筆圧をかけてしまい、ペン先を傷めてしまうケースがしばしば見受けられます。

 

インクが詰まった時は水洗いで解消できることも。

詳しくは以前の記事で。

 

 

 

【優しく書きましょう】

さらに、万年筆は毛細管現象によりインクをペン先からペンポイントに流しているため、軽く紙の上をなぞるだけでインクが出てくる仕組みになっています。万年筆にボールペンと同じような筆圧をかけてしまうとペン先が開いたり曲がってしまうリスクがあります。ペン先に大きなダメージが発生してしまうとペン先の交換を行わなければいけなくなり、修理費用が高額になる可能性もあります。そのため、日常的にボールペンを使っている方や筆圧がもともと高い方は「万年筆を使用する際は筆圧に気をつける」必要があります。

 

特に金のペン先は柔らかいので、万年筆の書き方に慣れない間は要注意です。

 

 

 

【外装の破損原因No1?】

 意外に多いのが「キャップが割れた」「クリップが折れた」という、ペン先以外の外装部分の破損です。残念ながらほとんどの場合、誤った使用方法で外部から過大な力が加わったことが原因のようです。

 

 万年筆のキャップは、一般的にネジ式(くるくる回し開け閉めするタイプ)と嵌合式(かんごうしき キャップをカチッと嵌めるタイプ)がありますが、嵌合式なのにネジ式のように回したり、ネジ式なのにキャップを引っこ抜こうとしたりするとどうなるかは想像に難くありません。また、中には特殊な開け方のタイプも存在しますので、初めて使う万年筆のキャップが固いと感じたときはご注意ください。

 

 また、キャップに付いているクリップも、開きすぎたり横から力が加わってしまって折れてしまうことがあります。もともと手帳やジャケットの胸ポケットに挟めるようになっているのである程度は開くのですが、力を加えすぎるとポッキリ折れることもありますのでご注意を。

 ちなみにですが、長時間何かに挟んでいたときなどにクリップに癖がついて開いたままになってしまうことがありますが、これは元あったように調整することができます。また、万が一クリップが折れてしまった場合も、多くの場合クリップだけを交換することができます。いずれの場合も専門店やリペアショップにご相談ください。

 

意外に多いのがキャップ周りのトラブル

 

 

 

【使わないときは内部洗浄】

 「長期間使用しない場合は万年筆からインクを抜き、内部の洗浄を行って保管しておく」ことも万年筆を大切に扱う上で非常に重要な要素のひとつです。長期間インクを入れたままにしておくと頑固なインク詰まりの原因となってしまい、水洗いだけではインク詰まりが解消できず、最悪の場合、ペン先の根本部分が腐食してしまうケースなどもありえます。そのため、1ヶ月ほど使用しないようならインクを抜き、内部の洗浄を行うよう心がけましょう。

 

 

 

 

【拭くときも優しく】

 また、万年筆はペン先に紙の繊維などの汚れが付着してしまった際は柔らかい布でふき取ってあげる必要があります。しかし、このときに必要以上に力を入れてしまい、ペン先を傷めてしまうこともあるかと思います。そのため、「ペン先を拭き取るときは軽く包んであげる程度の力」で拭き取れば安心かと思います。万年筆の製作上のコストの大部分はペン先にかかっています。そのため、ペン先を傷めてしまうと万年筆の価値自体が下がってしまう可能性があるため、ペン先には最も注意を払う必要があります。

 

 

 

 

 

【手のかかる子ほど可愛い】

万年筆を使用する上でやってはいけない注意点をいくつか紹介させていただきましたが、万年筆はこまめに手入れをしてあげる必要があります。万年筆の手入れには水洗いなどいろいろありますが、一番簡単かつ効果的な手入れは、「定期的に万年筆を使ってあげること」だと思います。定期的に万年筆を使用することでインク詰まりの原因を激減させることができます。また、使用していくにつれ自身の癖がペン先に染み付き、世界にひとつしか存在しない自分だけの筆記具へと育っていくうちに自然と万年筆に優しく、正しい万年筆の使い方を体が覚えていくのではないでしょうか。

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