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27.4.2018

ほんとに凄いの!? ロレックスの「エバーローズゴールド」 ~エバーローズゴールドの実力~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

今回は、ロレックス(ROLEX)が発明した金素材「エバーローズゴールド(Everose Gold)」についてです。

 

↑エバーローズゴールドを採用する

ヨットマスターⅡ/116681

 

皆さんの中には、「エバーローズゴールドって何?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

 

 

エバーローズゴールドを一言で言うと、

 

ロレックスが開発した、“ピンクゴールド”の改良版

 

です。

 

 

上で、ヨットマスターⅡのエバーローズゴールド採用モデルの画像を用意しています。外観から感じる雰囲気としても、とても上品な雰囲気を感じるのではないでしょうか。

 

実はこのエバーローズゴールドの登場は2005年ですので、比較的最近の発明です。そのため、エバーローズゴールドモデルは、現在、やっと登場から10年を越え始めたぐらいです。そろそろ、実際に着用され、その実力が見えてくる時期だと思います。

 

そこで今週は、エバーローズゴールドについて、「その“実力”は実際にどうなのか」を、私なりに評価したいと思います。

 

 

 

 

 

 

■金素材の“色”について

 

まず始めに、「エバーローズゴールドってどんなもの?」という点を整理するところから始めます。ただし、これを理解するには前提として、“金素材の色について”の知識が必要になります。ここで、少し説明をします。

 

まず、一般的に時計業界で使われる金素材は、“18金”です。しばしば、「K18」「18K」「18KT」「750」などと表現されることもあります。これは、「100%金ではなく、金の含有率が75%ですよ」という意味です。これは、“24金”が純金(100%金)を表しますので、18金は「24分の18」と捕らえるのです。「(18÷24)×100」という計算式から、「75%金」ということになるのです。

 

↑18金の刻印「18K」

 

つまるところ18金は、金の含有率を75%にして、“残り25%”は別の素材を混ぜ込むのです。その理由としては、純金は製品の素材とするには柔らかすぎるからです。別の素材を混ぜ込み、合金にすることにより、より硬度のある素材にしているのです。

 

そして、その“残り25%”を何にするかによって、金の色味が変わります

 

18金には「カラーゴールド」という概念があるのですが、

 

 

・イエローゴールド(YG)

・ピンクゴールド(PG)

・レッドゴールド(RG)

・ホワイトゴールド(WG)

・グリーンゴールド

・パープルゴールド

 

 

というように、“残り25%”の配合により、色味のバリエーションが作れるのです。

 

例えば、下の画像をご覧ください。

 

 

これは、ロレックスが“トリドール”と表現するものですが、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、イエローゴールドを組み合わせたものです。並べてみると、色味の違いがよく分かります。

 

“残り25%”の主な素材は、銅(Cu)と銀(Ag)です。を多く配合すると“赤み”が強くなり、を多く配合すると“青み(緑み)”が強くなります。

 

今回のテーマで必要な知識として、

 

ピンクゴールドは、“残り25%”に銅がたくさん入っている

 

ということを理解してください。

 

 

 

 

 

 

■エバーローズゴールドとは?

 

ここでやっと「エバーローズゴールドってどんなもの?」という疑問の説明ができます。

 

冒頭でも触れたように、エバーローズゴールドは「ロレックスが開発したピンクゴールドの改良版」です。「改良する」ということは、「ピンクゴールドには欠点があった」ということでもあります。

 

実は、ピンクゴールドの欠点“変色”です。これは、先に書いたように、ピンクゴールドには銅が多く入っているからです。銅でできている十円玉を思い出すと理解しやすいと思いますが、銅は空気や水に触れることで変色を起こしやすい素材です。

 

例えば、下の画像をご覧ください。

 

 

これは2000年代前半に製造されたロレックスのチェリーニというモデルです。素材はピンクゴールド製です。明らかに変色しているのが、お分かりになるでしょうか。

 

そして2005年、ロレックスは「エバーローズゴールド」を発表します。

 

「常に(エバー)、ピンクゴールド(ローズゴールド)」という名称からも分かるように、変色に強いピンクゴールドとして開発したのです。ロレックスはこのエバーローズゴールド開発で特許も取得しています。欧州特許庁での2003年のものが、優先権のある特許です。その特許の内容には、「水性媒体に曝される時計又は貴属装飾部品の耐変色性の改善」と書いてあります。やはり、ロレックスも変色への耐性をポイントとしています。

 

↑上品で、変色に強いエバーローズゴールド

 

そして、具体的な発明点は、「プラチナを1.5~3%含む」ことです。つまり、18金の“残り25%”の素材の一部に、変色のない高級素材“プラチナ(白金/Pt)”を加えたのです。プラチナを混ぜ込むことにより、変色に強くなるだけでなく、ピンクゴールドの色味も“赤みが抑えられた上品な色”になりました。私が感じる表現だと「やさしい色味で、上品な光沢のあるピンクゴールド」というイメージです。

 

 

 

 

 

 

■エバーローズゴールドの実力

 

では、変色に強いと言われるエバーローズゴールドの実力はどうなのでしょうか?今なら、もう登場から10年以上経っていますので、分かるはずです。下に、10年前ごろに製造されたエバーローズゴールド採用モデルで、実際に使用された個体の画像を用意しました。

 

↑2008年製造のエバーローズゴールドモデル

※デイトジャスト179171G

 

もちろん使用された個体ですので、小傷や汚れなどはありますが、変色はほとんどありません。では、汗が付着しやすい部分である“ブレスレットの裏側”はどうでしょうか。これも、下に画像があります。

 

↑ブレスレット裏側

 

ブレスレットの裏側も汚れなどはありますが、変色はほとんどありません。美しいピンクゴールド色が保たれています

 

これが、エバーロールゴールドの実力です!!従来のピンクゴールドモデルと比べても、その“美しさの持続”は凄いと感じます。

 

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

今回は、ロレックスが特許をもつ発明「エバーローズゴールド」について紹介をしました。その実力がお分かりいただけたでしょうか。

 

 

エバーローズゴールドからは

 

・変色に強い

 

・そもそもの色味が美しい

 

ということを、明らかに感じます。これが実力なのです。

 

 

そしてこのエバーローズゴールドは、時計業界に“ピンク(系)ゴールド開発競争”を生み出しました。例えば、オメガは「セドナゴールド」を開発し、ウブロは「キングゴールド」を開発しました。つまり、ロレックスのエバーローズゴールドを追随するメーカーが現れているのです。

 

ロレックスが生み出したエバーローズゴールド。きっとこれからも、時計業界の素材開発におけるマイルストーンとして君臨するでしょう。そして、今年の話題の新作GMTマスターⅡのエバーローズゴールドモデルのように、今後もさまざまなロレックスのモデルに採用され、“美しいロレックス”という選択肢を私たちに与えてくれるのでしょう!

 

 

 

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