高級腕時計の時計通信

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23.3.2018

タグホイヤー|モナコが「凄い!」と言われる理由 ~革新的な世界初の角型防水時計~

Komehyo

ブログ担当者:澤本

 

ヴィンテージ(アンティーク)時計に、スクエア型(正方形)のスポーツウォッチがない

 

皆さんは、その事実に気付いていましたか?

 

↑スポーツウォッチは丸いフェイス

  

もちろん“皆無”とまでは断言しませんが、例えばスクエア型のクロノグラフ、スクエア型のダイバーズウォッチなど、ヴィンテージの世界ではほとんど見ることがありません。実際に、スポーツウォッチのほとんどは“丸いフェイス”です。

 

実は、ヴィンテージウォッチに“スクエア型スポーツウォッチ”が少ない理由は、「スクエア型では高い防水性(防塵性)の実現が難しかったから」です。

 

しかし1969年、その時計業界の常識を打ち破る時計が登場します。それが、タグホイヤー(TAG HEUER)が生み出した世界初の角型防水時計「モナコ」です(※1)。このスクエア型時計で防水性を実現した点が、モナコの凄さのひとつです。

 

↑モナコ・キャリバー12

※CAW2111.FC6183 (2009年)

 

また、私はデザインにも凄さを感じます。上の画像のモデルは代表的なデザインのモナコですが、圧倒的な個性を感じるのではないでしょうか。それもそのはず。登場したのは、腕時計のデザインがアヴァンギャルド寄りに舵を切る時代だったのです。多くの時計メーカーが生き残りをかけてアヴァンギャルドな作品を作ったのです。しかし今、当時のアヴァンギャルドな腕時計の数々を振り返ってみると、申し訳ないのですが滑稽(こっけい)なデザインに感じるものもたくさんあります。それはきっと、今と当時の感性の違いもあるのかもしれません。

 

しかし、モナコは違います。当時のアヴァンギャルドなデザインとして作られたにも関わらず、今見てもグッドデザインです。現在もタグホイヤーの人気モデルの一角を占めるモナコのデザインは、きっと結果的に普遍性をもっていたのでしょう。そう考えると、抜群にセンスを感じるデザインです。このデザインの秀逸さが、もうひとつのモナコの凄さです。

 

このように、モナコには多くの人に「凄い!」と評価される要素が詰まっているのです。以降で、モナコの凄さについてもう少し掘り下げて紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

■「モナコ」とはどんなモデル?

 

まずは、「モナコってどんなモデル?」という点からです。前述の通り、1969年に登場した世界初の角型防水時計がモナコです。ただし、登場したタイミングが不運にも“クォーツ腕時計が登場した年”でもありました。その後、クォーツ腕時計がどんどんと普及するに従って、機械式時計の衰退が始まります。華々しく登場したモナコも、次第に姿を消すことになってしまいます。

 

しかし1998年、5000本の復刻限定モデルという形でモナコは復活します。1999年には3カウンター仕様、2002年以降は2カウンター仕様でレギュラー化します。2009年からは2カウンターモデルのムーブメントを一新し、デザインバランスを改善します。また同年に、かつてのような“左リューズ仕様”も限定で登場させます。2015年以降は、この左リューズ仕様をレギュラー化し、ラインナップの選択肢になっています。このような系譜を辿り、現在ではタグホイヤーのシリーズの一角として、モナコは人気を博しています。

 

↑復刻限定モデル

※CS2110.FC8119(1998年)

↑3カウンター仕様

※CW2111.FC6171(1999年)

↑革バンドモデルの翌年に登場した

2カウンター仕様のブレス版

※CW2113.BA0780(2003年)

 

モデル名称についてですが、「モナコ」という言葉自体はご存知の方も多いと思います。そう、南ヨーロッパの地中海に臨む、世界で2番目に小さい国のことです。そこでは毎年、市街地を使った世界3大レースのひとつに挙げられるF1レース、「モナコグランプリ 」が開催されています。タグホイヤーはモータースポーツに関係の深い時計メーカーです。そのことからも分かりますが、この「モナコ」というモデル名は国名ではなく「モナコグランプリ」を意識してネーミングされました。

 

また、モナコを紹介するうえで外すことができないのが、アメリカのハリウッド俳優スティーブ・マックイーン氏です。誰もが名前を聞くだけで胸がときめくような憧れのスターの存在というものがあるでしょう。マックイーン映画をリアルタイムで知る世代の方にとっては、まさに彼こそが憧れの存在だったのではないでしょうか。

 

そんな彼が主演を務めた1971年公開の有名なカーアクション映画と言えば、「栄光のル・マン」(※2)です。このロマンが詰まった映画の中で、マックイーン氏が身に着けている時計が「モナコ」なのです。この映画での着用がきっかけとなりモナコは世界的にヒットし、現在まで愛され続けています。

 

そしてモナコの代表的なデザインと言えば、「スクエア型のケース」、「ブルーの文字盤」、「赤い挿し色」だと思います。このデザインがマックイーン氏が着用した“マックイーンモデル”と言われます。

 

 ↑左リューズのマックイーンモデル

 ※CAW211P.FC6356(2015年)

 

 

 

 

 

 

■「モナコ」の凄い点

 

では、今回の主題の「モナコの凄い点」についてです。今回は3つの点を紹介します。

 

 

 

①角型ケースで防水性

↑現在は100m防水を実現 

 

スポーツでは、もちろん汗をかきます。さらに、使用する環境も苛酷な場所になる可能性もあります。そのため、スポーツウォッチには防水性が求められるのです。しかし、かつての技術ではスクエア型のケースに防水性を持たせるのが難しかったのです。

 

一般的な丸型のスポーツウォッチは、ロレックスの防水構造をお手本にしています。“ねじ込み式の裏蓋”でケース裏を閉じています。そしてそれぞれの隙間にはパッキンが噛ませられて、内部に水気などが侵入しないようにしています。

 

しかし角型時計は、“ねじ込み式の裏蓋”を採用することが難しいのです。タグホイヤーは、そういった困難に立ち向かって解決策を模索します。そして試行錯誤の末に、初代のモナコが完成します。初代モナコは、精密な加工精度の“かぶせ蓋”式ケースを採用し、その隙間にパッキンをかませる方法で防水性を実現しました。「“升(ます)”形の下ケースに、“升を逆さにした”形の上ケースをはめ込む」と表現すると分かるでしょうか。下に画像を用意しましたので、その裏蓋を見ていただければ一目瞭然です。

 

 

私にとっては、

 

“思いついても、普通やらないでしょ!”

 

という印象の発明です。

 

画期的というよりも、そのチャレンジの気概に対して「凄い!」と言いたいです。勇気のある革新かもしれません。その後は進化を辿り、現在では工作技術の発達により、モナコは100m防水を実現するまでに至っています。

 

 

 

②世界初の自動巻クロノグラフ搭載

 

↑かつてをオマージュした現在のCal.11

 

モナコのもうひとつの凄い点は、初代モナコが「世界初の自動巻クロノグラフムーブメント」を搭載したという点です。1969年、ホイヤー、ブライトリング、ハミルトン、デュボア・デプラ社の4社で共同開発していたのが、世界初の自動巻クロノグラフムーブメントである「クロノマティック」でした。その構造は、ベースとなるムーブメントにクロノグラフのモジュール載せたものであり、左側(逆側)にリューズという珍しい構造も魅力です。左利きであったマックイーン氏には使いやすかったのではないでしょうか。

 

かつてのクロノマティックの特殊性を再現すべく、2009年にはかつてと同じキャリバー名「11」をもつムーブメントを開発し、“左リューズのモナコ”が再現されるようになりました。そのため現在では、右リューズのタイプ(Cal.12)と左リューズのタイプ(Cal.11)の両方をラインナップするに至っています。

 

 

 

③デザインが秀逸

 

↑余白の埋め方が秀逸

 

冒頭でも紹介しましたが、モナコはデザインが秀逸です。奇抜なカラーリングを採用し、スクエア型のスポーツウォッチというスタイルをもっていますが、デザインのバランスが良いのです。

 

当時のアヴァンギャルドな時計に見られる傾向として、奇抜なデザインにするためにデザインの節々に“無駄な余白”を作ることが多かったのです。例えば当時の時計は、いわゆるベゼル部分のスペースを大きくとって、文字盤はそこまで大きくしないデザインが多かったと思います。そのため、ベゼル部分にデザイン的な大きな“余白”がありました。

 

しかしモナコは、ベゼルは比較的細くし、文字盤は大きめにデザインされています。モナコが今でも通用するデザインである要因は、このベゼル幅を絞ったことにもあると思います。そして、大きめに作られた文字盤にできる“余白”を、「丸いライン」「インダイヤル」「ロゴ」「日付」で上手に埋めています。しかも外側から内側に向かってデザインを見ると、ケースは“四角”、文字盤外周には“丸”ライン、インダイヤルは“四角”となっています。外側より、「四角→丸→四角」という絶妙なバランスがあり、幾何学デザインを使いながら巧みに“デザインの味付け”を行っているのです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

このようにモナコは

 

 

・歴史が凄い

(世界初の角型防水時計)

 

・ムーブメントが凄い

(初期に搭載されたものは世界初の自動巻クロノグラフ/左リューズ仕様あり)

 

・デザインが凄い

 (アヴァンギャルド+バランスの良さ)

 

 

という凄さがあります。

 

 

そこに、「スティーブ・マックイーン氏に愛された時計」という要素も加わります。そのような要素があり、タグホイヤー「モナコ」は、名作だと考えられているのです!

 

 

 

※1・・・「世界初の角型防水時計」について。タグホイヤーはモナコを世界初の角型防水時計と位置づけています。ただし、例えば1932年に誕生したオメガ「マリーン」も、ある種の角型の防水時計です。 しかし、マリーンは強いて言うとスクエア(正方形)ではなくレクタンギュラー(長方形)です。そのため、「角型」の意味を「正方形の」という捉え方をするなら、モナコが世界初の角型防水時計なのでしょう

 

※2・・・映画「栄光のル・マン」について。この映画はカーレースに並みならぬ情熱を傾けていたマックイーン氏が、本物のル・マン24時間レースに参加して撮影した映像を使ったドキュメンタリータッチの映画です。マックイーン氏の意思のもと、観客の心に響く人間ドラマやストーリーを排除しました。あまりにレースそのものにスポットをあてた結果、一般層への受けが悪く、興行的には失敗に終わったと言われています(日本ではヒットしていますが)。しかし、凄まじいレースの臨場感やスピードの極限に命を燃やす男たちを描き、一般層への受けを狙うのではなく自身のこだわりを突き通し表現したことが、この映画が未だに色あせない理由だと思います。

 

  

  

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