高級腕時計の時計通信

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5.11.2016

2000年代、2010年代の高級時計のトレンドは?

Komehyo

(前回からのつづき)

 

前回:「高級腕時計選び、あなたは何年代派? ~人気は90年代!?~

↓↓↓

こちら

 

ブログ担当者:須川

 

■2000年代は“大型化”&“自社製ムーブメント”!

 

パネライが先鞭をつけ、2000年代以降、時計サイズが大型化します。1990年代の男性用時計の標準サイズはケース径37~38mmぐらいの印象でした。40mmあれば少し大きめに感じました。しかし、標準モデルが44mmのパネライのヒットにより、42~46mmぐらいが2000年代の男性標準になった感覚があります。

 

↑パネライ「ルミノール」

 

また、2000年代は自社製ムーブメントの開発が積極的に行われました。これは大手ムーブメント供給元であったETA社が、ムーブメントの供給を削減する方針を打ち出したことを発端とする動きです。時計の大型化により、ムーブメントサイズと時計本体のサイズがミスマッチを起こしつつあっただけに、合理的な判断だったのかもしれません(ETA社もバルグランジュという大型ムーブメントを開発しましたが)。ただし、ロレックス、パテックフィリップ、ジャガールクルト、ゼニス、ジラールペルゴなどのマニュファクチュールは元々自社でムーブメントを開発していましたので、自社製ムーブメント開発は一部メーカーでの話しとなります。

 

 

 

 

 

 

■2010年代はディテールで勝負!

 

2010年代になると、時計業界において大型化と自社製ムーブメントは“当たり前”になってしまいます。さらに、時計業界では2000年代から新世代の工作機を導入しており、以前よりも容易に複雑な製作が可能になっています。自社製ムーブメントの製造もそのおかげと言えます。2010年代になると、かなりの数のメーカーがその新世代の工作機の恩恵を受けています。例えば、時計の外観はかつてよりずっと良くなります。立体感・高級感の表現が巧みになっており、エントリーレンジの価格帯の時計であっても素晴しい“高級時計”に仕上がっています。

 

↑エントリーレンジの時計にも

立体感・高級感が備わる

※こちらはエドックス「クロノオフショア1」

 

裏蓋だけでなく文字盤からムーブメントを見せる“両スケルトン”モデルも増えています。また、新素材の更なる開発や、セラミック素材・夜光塗料の新色の開発なども盛んです。2000年代からの流れを引き継ぎ、2010年はますますディテールで魅せる傾向が強くなっています。

 

2000年代は“デカ厚”などと呼ばれ、時計の直径だけでなく厚みも増していました。しかし、2010年代はいくつかのメーカーで“薄型化”と“ややサイズダウン”が見られます。ジャガールクルトのマスターウルトラスリムやサイズダウンしたマスターコントロールが好例です。

 

 

 

 

 

■お買い得感は1990年代にあり!

 

ここまで1990年代、2000年代、2010年代を見てきましたが、結局どの年代がおすすめなのでしょうか?これは好みの問題かもしれません。

 

2010年代の時計は、1990年代のものに比べるとかなり質感が良くなっています。そしてムーブメントも自社製のものが増えています。しかし、価格が随分高くなりました

 

逆に1990年代の時計は、質感こそ最新のものに劣りますが、中古市場での購入しやすい価格が売りです。さらに、復興期だけあって、多くのモデルが荒削りながら創造されたばかりの熱感を持っています。あと、小ぶりなサイズ感を好む方にはうってつけの年代です。

 

2000年代はリーマンショックが来るまでは“時計バブル”と呼ばれ、イケイケの時代でした。前述したように自社製ムーブメントの開発も盛んで、自社製ムーブメント搭載の新モデルがたくさん登場しました。各メーカーが高額投資をして開発したため、価格も高額になりました。ただし、先に紹介したゼニスの文字盤の一部をくり抜いた“オープン”も、歯車の代わりにベルトを使い駆動させるタグホイヤーのモナコV4もこの年代に誕生しています。イケイケの時代だったからこそ誕生したアイデアが面白い年代でもあります。

 

ここで、外装の変化をイメージしやすいように、下にブライトリングのクロノマットの歴代モデルの画像を用意しました。質感の変わりゆく様がよく分かると思います。

 

 ↑1984年誕生のデザインを引き継ぐ

1990年代のクロノマット(39mm)

↑2004年に大型化した

クロノマット(43.5mm)

↑2009年登場の自社ムーブメント搭載

クロノマット(44mm)

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

最新のスペックと質感を求めるのであれば新しい年代のモデルがおすすめです。ただし、私は個人的に1990年代が好きです。高級時計の中では購入しやすい価格は、若い世代の方にも嬉しいはずです。そして、過去の名作にまで触手を伸ばすのは、少しマニアックなことなのかもしれませんが、日本人の気質に合っている気もします。当ブログでも、ネクストヴィンテージと題して1990年代付近のモデルの記事を投稿していますので、是非ご覧下さい。

 

 

 

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