高級腕時計の時計通信

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11.5.2018

【時計業界の常識】映画007の“ボンドウォッチ”は「オメガ vs. ロレックス!?」 ~ジェームズ・ボンドをめぐる時計業界の争い~

Komehyo

ブログ担当者:後藤

 

皆さん、「ボンドウォッチ」という言葉を耳にしたことはありますか?

 

↑ボンドウォッチ

※「スペクター」モデル

 

これは、“映画007の主人公が着ける腕時計”のことです。実は時計業界では、映画と時計メーカーのコラボレーションや、映画のキャストが着ける時計が話題になることはよくある話です。しかし、数ある“映画と時計の関係”の中で最も有名と言われるのが、この映画007との関係です。

 

この“ボンドウォッチ”は通称ですが、もちろんその語源は、映画007の主人公ジェームズ・ボンドからとったものです。スパイ映画の金字塔である「007」は、1962年から現在までに24作品が上映されています(2019年に次作の予定あり)。このシリーズを通して、主人公は同じであり、その主役がジェームズ・ボンドなのです。この主人公を、これまでに6人の俳優たちが演じてきており、初代のショーン・コネリー氏に始まり、現在はダニエル・グレイグ氏が“6代目ジェームズ・ボンド”として活躍しています。

 

では、なぜ映画007の腕時計は時計業界で有名なのでしょうか?

 

それは、ジェームズ・ボンドに憧れる人が多いからです。ジェームズ・ボンドはその振る舞いや生き様が“粋”であり、彼が所有するファッション・小物・車にもこだわりが伺えます。そんなカリスマの持つこだわりのアイテムに、多くの男性は興味を抱くのです。もちろん腕時計にも注目が集まります。多くの男性が、「ジェームズ・ボンドはどんな腕時計を着けているんだ?」とチェックしているのです。

 

その関心の高さから、今では“ボンドウォッチ”は有名な存在になっています。もはや、ボンドウォッチは、“時計業界の常識”のひとつと言える存在かもしれません。“時計業界の常識”であれば、このブログ-トケイ通信-で扱わないわけにはいきません。今回は、“ボンドウォッチ”を紹介しましょう。

 

特に、“ボンドウォッチ”の話題で有名なものは、「オメガ vs. ロレックス」という構図かもしれません。以降で紹介します。

 

 

 

 

 

 

■“ボンドウォッチ”の系譜

 

現在のジェームズ・ボンドが愛用している時計はオメガです。このことは、時計好きの方であればご存知の方も多いはずです。ただし、過去は違います。ロレックス、ブライトリング、セイコー、ホイヤー、パルサーなど、オメガではない時計がボンドウォッチとして登場しています。

 

系譜にすると・・・

 

 

・ロレックス

(一部でブライトリングとパルサー)

 ↓

・セイコー

(その後一時、ロレックスとホイヤー)

 ↓

・オメガ

 

・・・という流れが大筋です。

 

 

下で、この流れをもう少し掘り下げて紹介します。

 

 

 

 

1.「ロレックス」とジェームズ・ボンド

 

実は007の原作は、イアン・フレミングという作家が書いた小説です。その原作に登場する腕時計はロレックスの「オイスターパーペチュアル」です。そして、1962年に007が映画化され、その初作「ドクター・ノオ」にてジェームズ・ボンドが着用していた腕時計は、ロレックスのサブマリーナでしたつまり、原作小説を含めて考えると、「“ボンドウォッチ”はロレックスである」と捕らえることができるのです。

 

↑サブマリーナRef.5513

 

因みに、初代ボンドであるショーン・コネリー氏の腕には、サブマリーナがNATOストラップで着用されています。このモデルが「どの種類のサブマリーナなのか」が、よく議論されてきました。Ref.5510という説もありましたが、現在は「Ref.6538である」ということで落ち着いています。

 

そして、続編においても引き続きロレックスが採用されました。2代目ボンドであるジョージ・レイゼンビー氏の時代においてもサブマリーナ(Ref.5513)や同社のクロノグラフ(Ref.6238)が採用され、3代目のロジャー・ムーア氏の時代もサブマリーナ(Ref.5513)が採用されました。

 

ボンドウォッチがオメガに変わった現在でも、映画ファンの間では「ロレックスこそがジェームズ・ボンドに相応しい時計だ」という声が根強く残っています。

 

 

 

 

2.「セイコー」とジェームズ・ボンド

 

1970年代以降、腕時計が電子化する時代になると、ボンドウォッチもその時代を反映した電子デバイスになります。特に活躍したのが日本が誇る時計メーカー、セイコーです。セイコーが初めて登場したのが、1977年公開の「私を愛したスパイ」においてです。この作品で、ロジャー・ムーア氏はセイコーのクォーツLCを着用しています。

 

LCは「リキッド・クリスタル」の略です。つまり「液晶」を意味し、当時の“ハイテクデザイン”であるデジタルウォッチを“ボンドウォッチ”に取り入れたのです。実際の映画内では、そのボンドウォッチの使い方がユニークでした。クォーツLCが指令文を受信し、さらにテープに印字するなど、“実際のクォーツLCにはない機能”を使うシーンがあるのです。ハイテクデザインが故に、“スパイ道具”としての演出が容易だったのでしょう。

 

これ以降、ロジャー・ムーア主演作品には、全てセイコーの時計が登場します。“ボンドウォッチ”の一つの時代を支えたのが、セイコーなのです。

 

 

 

 

3.「オメガ」とジェームズ・ボンド

 

ここまでで紹介したように、ロレックス、セイコーという系譜を辿りながら、ボンドウォッチは変化してきました。そして、1995年、ついにオメガがボンドウォッチの座を勝ち取る転機が訪れます。「ゴールデンアイ」において、オメガのシーマスタープロフェショナル(Ref.2541.80/クォーツ式)が採用されたのです。

 

↑シーマスタープロフェッショナル

Ref.2541.80

 

オメガがボンドウォッチに採用されたのには、2つの理由がありました。理由のひとつは、5代目ボンドにピアース・ブロスナン氏が抜擢されたことです。彼は元々オメガとライセンス契約を結んでおり、そのことが影響したと言われています。もうひとつの理由は、衣装デザイナー、リンディ・ヘミング氏の提案でした。オメガの公式HPによると、彼は次のように語っています。

 

私は、海軍所属のダイバーであり、世界に名だたる控えめな紳士である海軍中佐のボンドが、ルーダイアルのシーマスターを着用すると確信していました。」

参照はこちら

 

つまりヘミング氏は、「海軍所属のボンドにはオメガのシーマスターが相応しいと」推したのです。これが受け入れられたことによって、オメガはボンドウォッチの座を勝ち取ったのです。

 

 

 

 

 

 

■オメガ vs. ロレックス

 

ここまでのように、“ボンドウォッチ”の座は、主にロレックス、セイコー、オメガが担っています。しかし、やはり高級時計市場における2大ブランドは、ロレックスとオメガです。現在、デジタルウォッチの地位は「安価な時計」であり、なかなかセイコーのボンドウォッチには注目が集まりません。

 

やはり、世間の“ボンドウォッチの座に相応しい時計”をめぐる議論は、「オメガ vs. ロレックス」です。

 

 

つまり、

 

現在の公式ボンドウォッチ「オメガ」

vs.

原作に登場したボンドウォッチ「ロレックス」

 

です。

 

面白いエピソードがあります。2006年、6代目ボンドを演じるダニエル・クレイグ氏の初作品「カジノロワイヤル」でのことです。女性がボンドに「良い時計ですね、ロレックス?」と問います。そしてボンドは「オメガだ。」と答えます。このシーンから、私は何か意図を感じます。映画製作者側も、オメガとロレックスの対立を理解したうえで、007ファンにユーモラスに答えた感じがします。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

最終的にはオメガが“ボンドウォッチ”の座をつかみますが、それまでには様々な経緯がありました。特にオメガに関しては、ピアース・ブロスナン氏とリンディ・ヘミング氏の存在が、大きかったのではないでしょうか。そして、ボンドウォッチの座を勝ち取ったオメガは、現在までに、様々なボンドウォッチを発表しています。

 

最後の締めとして、一部ですが、下でオメガのボンドウォッチを紹介しておきましょう。

 

 

・ゴールデンアイ(1995年)

↑2541.80(クォーツ)

 

・トゥモロー・ネバー・ダイ(1997年)

ダイ・アナザー・デイ(2002年)

↑2531.80(自動巻)

 

・カジノ・ロワイヤル(2006年)

↑2220.80(コーアクシャル)

 

・慰めの報酬(2008年)

↑2201.50

 

・スカイフォール(2012年)

↑232.30.42.21.01.001

 

・スペクター(2015年)※1

↑233.32.41.21.01.001

 

上に挙げたモデルは実際に劇中で使用されたモデルですが、“ボンドウォッチ”は他にもあります。それは、“ボンド限定モデル”です。つまり、映画公開記念の限定モデルや007をイメージした限定モデルなどです。それらのモデルは“明らかに007と分かるデザイン”が入るため、もちろん、諜報員であるボンドが使うはずはありません。しかし、その限定感が、ファンにはたまらないのです。

 

“ボンド限定モデル”はたくさんありますが、例えば…

 

↑「カジノロワイヤル」時の

“ボンド限定モデル”2226.80

↑針に“007 with GUN”

 

このようなモデルです。

 

「007」というワード自体は、殺人許可証をもつボンドのコードネームです。その「007」に銃のデザインまで入るのです。さすがに、ボンド本人が使うには身元を明かし過ぎですよね。このようなモデルは、もちろんボンド本人が使用するモデルではなく、劇中で使用された“ボンドウォッチ”をベースに作られた限定品などです。

 

つまり、007に関するモデルは

 

「ボンド本人が劇中で使用したモデル

007の限定品として特別に作られたモデル

 

があるということです。

 

また、ボンド限定モデルでの面白い点ですが、「公開作品がないときも発売されることがある」点です。例えば2017年、下の画像のモデルが発売されました。定期的に007の

モデルを発表する状況から考えても、今のオメガには、“ボンドウォッチ”は非常に重要なのモデルであることは、間違いありません!

 

↑2017年の“ボンド限定モデル”

※212.32.41.20.04.001

 

 

 

※1・・・「スペクター」で使用されたモデルは、従来とは異なるパターンかもしれません。それまで、劇中ではオメガの“一般モデル”をボンドは使用し、それとは別の、“特別デザイン”に変更したボンド限定モデルが発売されていました。しかし「スペクター」では、劇中と同じデザインのものがボンド限定モデルとして発売されました。ただし、この限定モデルの裏蓋には、「SPECTRE」刻印や「“007 with GUN”」刻印(限定数7007本刻印内のアレンジとして)があります。ボンド本人がそのような刻印のある時計を使っているはずもありませんので、あくまで“劇中と同じデザイン”ということなのでしょう(オメガの公式HPには「ジェーズ・ボンドが実際に着用しているこのモデルは・・・」と書いてありますが)

 

 

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