高級腕時計の時計通信

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19.1.2016

時計愛好家たちに認められる銘品「永久カレンダー3940」(前半) ~時計初心者の方にもわかりやすくパテック・フィリップの名作を解説!!~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

 

「時計が趣味です」という方がいたら、どんな人をイメージするでしょうか?新作高級時計に次々と触手をのばす人、アンティーク時計の収集家、G-SHOCKコレクター、 スウォッチコレクターなどのようにとにかくたくさんの時計を所有する方かもしれません。しかし実際は、時計自体を数多く所有していない時計愛好家も世界にたくさんいます。彼らは、時計の知識や情報を集めて楽しみ、その知識の中で厳選に厳選を重ね、自分の所有する時計をわずか数本だけ選びます。私は「時計愛好家」と言われる人の中で最も多い層が、この「厳選所有の時計愛好家」だと考えています。

 

では、この「厳選所有の時計愛好家」たちの御眼鏡にかなうモデルは何でしょうか?もちろん、彼らの好みは十人十色で、さらに、時計に対する評価が辛口です。しかし、その辛口の彼らでさえ認めているモデルはあるはずです。私にはそれについてある程度目星がついています。それはお客様との会話やインターネット上の書き込みを見る中で感じたものですが、パテック・フィリップのグランド・コンプリケーションモデル「3940」が多くの愛好家に認められていると感じます。いわゆる「永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)」モデルです ※1。

 

今週は、「厳選所有の時計愛好家」の方々に認められているであろうモデル、パテック・フィリップ「3940」について書かせていただきます。今回は、パテック・フィリップが好きな方だけでなく、高級時計初心者の方にもその良さが伝わるように書きたいと考えています。そして、後者の方にも、時計最高峰メーカーであるパテック・フィリップについて知る機会になれば幸いです。

 

文章が長くなる予定ですので、前後半に分けて掲載させていただきます。前半の今回は永久カレンダー「3940」がどのような立ち位置にあるかを中心にお話いたします。

 

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↑パテック・フィリップ「3940」は時計愛好家に認められている

 

 

 

 

 

◆「永久カレンダーモデル」はパッテック・フィリップの中でどんな位置づけ?

「3940」と型式数字で表現しているのは、パッテク・フィリップのモデルはラインナップが非常に多いためです。つまり、「永久カレンダーモデル」と言っても「いつの時代の、どの種類のモデルか」が分からないからです。そのため、型式で表現すると誤解なく「どのモデルなのか」が伝わるため、パテック・フィリップを語る際には型式番号で語ることが一般的です。このことは、過去のブログ「パテックフィリップ「3923」~日本人の心に残るカラトラバ~」でも紹介していますので、是非ご確認ください。

 

では、「3940」の紹介させていただきたいと思います。ただし、それをご理解いただく近道として、そもそもパテック・フィリップにはどのような商品ラインがあるのかを知ることが必要になります。現在のパテック・フィリップ公式ホームページによると、商品ラインナップは以下の通りです。

 

 

<パテック・フィリップの商品ライン(紳士用)>
①カラトラバ
②ゴールデン・エリプス
③ゴンドーロ
④アクアノート
⑤ノーチラス
⑥コンプリケーション
(トラベルタイム、ワールドタイム、年次カレンダー、クロノグラフ、スケルトンモデル)
⑦グランド・コンプリケーション
(永久カレンダー、ミニットリピーター、トゥールビヨン、永久カレンダークロノグラフ、スプリットセコンドクロノグラフなど)

 

 

上に紹介した商品ラインを見ると、①~⑤はデザインコードで分けられています。例えば、ノーチラスなら「ノーチラスのケースデザイン」、ゴンドーロなら「ゴンドーロのケースデザイン」という単純な要素です。しかし、⑥の「コンプリケーション」と⑦の「グランド・コンプリケーション」はその意味通り、「複雑機能」を持つモデルをそのラインに置いています。しかし、例えばノーチラスの年次カレンダーやクロノグラフは「ノーチラス」ライン内にあり、アクアノートのトラベルタイムは「アクアノート」ライン内にあります。そして、「カラトラバ」ライン内には複雑機能モデルは組み込まれていません。つまり、②~⑤の複雑機能モデルは⑥⑦のライン内には組み込まれておらず、①の複雑機能であれば⑥⑦に組み込まれているとも言えます。まとめると「コンプリケーション」「グランド・コンプリケーション」とは、「②~⑤のデザインコードではなく、且つ、特別な機能(技術)を持っているモデル」ということになります。②~⑤のラインような個性的な見た目を持たずとも、「その複雑な機能こそが個性」というラインが「コンプリケーション」「グランド・コンプリケーション」ラインです。

 

そして、「コンプリケーション」よりも複雑な機能を持ったラインが「グランド・コンプリケーション」であり、「3940」のような永久カレンダー機能はこの「グランド・コンプリケーション」に位置づけされます。さらに、「グランド・コンプリケーション」ライン内のモデルを見渡すと、永久カレンダー機能(のみ)モデルは最もこの商品ライン内で「安価」なモデルという位置づけになります。このことが理解できると、永久カレンダーモデルの絶妙な位置づけが見えてきます。つまり永久カレンダーモデルは、パテック・フィリップ最高峰の「グランド・コンプリケーション」ラインでありながら、そのライン内で最も手が届きやすいモデルなのです!

 

 

 

 

◆「3940」はどのようなモデル?

ここまでで述べたように、永久カレンダーモデルは高値の華である「グランド・コンプリケーション」ラインの中でも手が届きやすいモデルです。そもそも、パテック・フィリップを欲しいと思う方は「最高峰の時計が欲しい」と考える方なので、最高峰の「グランド・コンプリケーション」ラインに触手を伸ばしたくなる気持ちは自然なことです。しかし、この最高峰ラインの場合は上を見ると「何千万円」単位の売値になることが多いのが現実です。それを考えると、中古売価で数百万円で手に入る永久カレンダーモデルはお手ごろと言えます。

 

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↑左:先代モデル「3940R」(ローズゴールドモデル)
↑右:現行モデル 「5140R-001」(ローズゴールドモデル)
※「5140R-001」は2015年度に生産中止のアナウンスあり

 

 

では、永久カレンダーモデルの中で「3940」はどういう立ち位置なのでしょうか?「3940」は1985年に誕生しました。そして、現行モデルの「5140」が2006年に登場していますので、「3940」は先代の永久カレンダーモデルという立ち位置です ※2。現行モデルの「5140」はケース径が約37mm、先代の「3940」はケース径が約36mmです。この約1mmの違いがデザインの変更としては大きいのです。個人的な評価になりますが、「3940」はプロポーションが最高のバランスを誇っていました。インダイヤルの位置、バーインデックスの長さ、腕の上に置いたときの収まりは、往年の時計ファンに愛される絶妙なバランスでした。そして、パテック・フィリップの永久カレンダーモデルが「3940」から「5140」に進化した際に、私は「モダンに生まれ変わったなぁ」と感じたものです。新旧の永久カレンダーモデルのどちらが秀逸なのかは意見が分かれるところですが、私は個人的には圧倒的に先代モデルが好きです。

 

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↑「3940」のバランス感は秀逸

 

後半へ続く

 

 

次回は、後半として、さらに「3940」を掘り下さげて述べたいと思います。

 

後半文章へは「こちら」をクリック
↓↓↓
こちら

 

 

 

 

※1・・・永久カレンダーについては過去のブログ「IWCが起こした永久カレンダー革命 ~「ダヴィンチ」の革新性~」をご参照ください。

 

※2・・・「丸型ケースで、プレーンなベゼルデザインを持つタイプ」においては先代という立ち位置ですが、実はその他にもバリエーションがあり、クル・ド・パリ様式のベゼルを持つモデル、クッション型ケースのモデル、レトログラード運針のタイプも別で存在します。

 

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