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18.11.2016

IWCがもたらした衝撃! 「ポルトギーゼ・オートマティック2000」と「キャリバー5000」

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

2000年、IWC「ポルトギーゼ・オートマティック2000」を発表します。私はこのモデルを知った際に、衝撃を受けました。

 

↑ポルトギーゼオートマティック2000

※型式IW500001

 

その理由のひとつは、IWCの自社開発ムーブメントだったことです。そしてもうひとつは、そのムーブメントサイズが38.2mmだったことです!今考えても先見の明のある開発だったと感じます。

 

今週は、IWCのポルトギーゼ・オートマティック2000とその内部のムーブメントキャリバー5000(以下、Cal.5000)について述べさせていただきます。そして、私が何故この作品に衝撃を受けたのかを説明させていただきます。

 

 

 

 

 

 

■「ポルトギーゼ・オートマティック2000」って?

 

ポルトギーゼは、ポルトガル人商人が懐中時計ムーブメントを転用して高精度の“腕時計”をIWCに依頼したことから開発されました。そして、1939年に商品化されました。しかし生産数は少なく、1958年には生産を終了してしまいます。そこから時を経て、1993年、ポルトギーゼは創立125周年モデルとして復活します。通称“ジュビリーギーゼ”と呼ばれる限定モデルです。このモデルを皮切りに、IWCは次々とポルトギーゼの限定モデルをリリースします。そして、ミレニアムイヤーである2000年にも限定モデルとしてポルトギーゼを発表します。それが、ポルトギーゼ・オートマティック2000です。スレンレス素材1000本・ピンクゴールド素材750本・プラチナ素材250本で、計2000本の生産限定でした。

 

↑自社ムーブメントCal.5000

 

このモデルは新開発した自社ムーブメントCal.5000を搭載しており、とても驚きました。なぜならば、IWCはかつて自社ムーブメントを開発していましたが、1970年代ごろには自社ムーブメントの生産を終了したと思われ、久しぶりの自社製自動巻ムーブメントだったからです。ヴィンテージファンには嬉しい“ペラトン式”の巻上げ機構を採用しているだけでなく、高級かつクラシカルな“巻き上げヒゲ”と“チラネジ”も備えます。振動数は18000振動/時のロービートで、調整は偏芯ネジ式です。時計愛好家を唸らせるクラシカルな仕様でありながら、巨大な香箱に大きなゼンマイを搭載した7日間持続のロングパワーリザーブ機として仕上げられています。

 

 

 

 

 

■「キャリバー5000」衝撃!

 

ここまで紹介したように、ポルトギーゼ・オートマティック2000に搭載されたCal.5000は、時計愛好家に好まれるクラシカル仕様のロングパワーリザーブ機でした。しかし、私はそのムーブメントサイズに衝撃を受けました。なんと38.2mmという大きな直径を持っていました。少し、説明をします。

 

例えば、ロレックスの基幹ムーブメントCal.3100系は直径が28.5mmです。そして、ロレックスのデイトジャストは本体ケースの直径が約36mmです。他には、30mm径のETA7750を搭載するオメガのスピードマスターデイトは約40mm(39mm)、25.6mm径のETA2892A2を搭載するカルティエのパシャCは約35mmです。

 

つまり、例で挙げた、ムーブメント径とケース径の関係は以下の通りです。

 

 

(ムーブメント径 → ケース径)

・デイトジャスト:

28.5mm → 36mm

 

・スピードマスターデイト:

30mm → 40mm(39mm)

 

・パシャC:

25.6mm → 35mm

 

 

この例ではムーブメント径とケース径の差が“7mm以上”はありました。そして、ポルトギーゼ・オートマティック2000は以下の通りです。

 

 

・ポルトギーゼ・オートマティック2000:

38.2mm → 42mm

 

 

ポルトギーゼ・オートマティック2000の場合はムーブメント径が“38.2mm”と圧倒的に大きく、ムーブメント径とケース径の差を“4mm弱”と縮めることで42mmというサイズに収めています。実はCal.5000のムーブメント径は、当時、時計業界で最も大きいものだったようです。他のメーカーの例から考えると、通常はCal.5000の直径であれば45mmオーバーのモデルを作ることになります。

 

そしてなにより私を驚かせたのは、Cal.5000は「開発に約5年かかった」と言われている点です。つまり、1995年ごろに38.2mm径のムーブメントを作ろうと発想しているのです!1990年代半ばと言えば、IWCで言うとマーク12やメカニカルフリーガークロノの時期です。つまり、当時のIWCのラインナップであれば、3針モデルでケース径36mm、クロノグラフでも39mmです。まだ後にデカ厚ブームを起こすパネライの一般販売も始まっていない時期です。その時期に、IWC開発陣は“3針”の時計(パワーリザーブ針もありますが)のムーブメントサイズを38.2mmにする発想している可能性があるのです。

 

確かに、2000年代に入り44~46mmぐらいある大きなサイズの時計がトレンドとなりますが、IWCは1990年代半ばにそのトレンドが読めていたのでしょうか?それとも、IWCの伝説的設計者アルバート・ペラトン氏は「ムーブメントは大きいほど信頼性が高まる」と考えていたので、ただ盲目的にそれに従ったのでしょうか?

 

しかし、特に3針のムーブメントとして新規設計したCal.5000の場合、コストの回収を考えると長期的に自社製ムーブメントの生産をするはずです。つまり、基幹ムーブメント開発です。現に、2004年にレギュラーモデルとしてポルトギーゼ・オートマティックを発表したのがその証拠です。やはり、基幹モデルの開発であれば、勝算がないと危険です。IWCの開発陣は大型時計の需要に自信があったのでしょう。

 

↑レギュラーモデルの

「ポルトギーゼ・オートマティック」

※型式IW500107

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

私たちのシリーズブログに「ネクストヴィンテージ」があります。これは機械式時計の人気が復活する1980年代後半から1990年代の時計をフォーカスした企画です。特に1990年代の開発熱は凄いのです。私は「ポルトギーゼ・オートマティック2000」も1990年代に構想された歴としたネクストヴィンテージモデルだと思います。1990年代に大型時計開発に踏み切った勇気のある時計、それがポルトギーゼ・オートマティック2000です!

 

 

 

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