高級腕時計の時計通信

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9.9.2016

なぜオメガの時計にスヌーピー!? ~スピードマスターとスヌーピーアワード~

Komehyo

ブログ担当者:前川・後藤

 

オメガの時計にスヌーピーのイラストがあるモデルがあることをご存知でしょうか?

 

↑オメガの時計にスヌーピー!?
※画像は型式311.32.42.30.04.003

 

そう、あの“ピーナッツ”の有名なキャラクターです。もちろんオメガの時計によくスヌーピーのイラストがある訳ではなく、レアモデルとして一部の限定モデルにスヌーピーが登場します。このモデルについてご存知ない方にとっては、高級時計とファンシーキャラクターがコラボレーションすることに違和感を感じるかもしれません。しかし、時計に明るい方はこのコラボレーションの意味を知っています。

 

実は、オメガが1970年に“シルバースヌーピーアワード”を受賞したからなのです。

 

シルバースヌーピーアワードについては後ほど説明させていただきますが、実はオメガがこのスヌーピーモデルを誕生させたルーツを辿ると、そのルーツにはある悲しい事故がありました。

 

今週は、オメガがスヌーピーモデルを作った経緯を紹介させていただきます。そして、スヌーピーモデルが持つ深い意味に迫りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

◆そもそもシルバースヌーピーアワードって何?

 

そもそもシルバースヌーピーアワード(以下、スヌーピーアワード)とはいったい何なのでしょうか?実はこれはNASA宇宙開発計画や有人宇宙飛行ミッションにおいて、その成功と安全で貢献した人物や企業に対して送る大変名誉ある賞のことなのです。

 

急にNASA、つまりアメリカ航空宇宙局が登場しましたね。ご存知な方も多いかと思いますが、オメガのスピードマスターは別名“ムーンウォッチ”とも呼ばれております。この時計はNASAに公式装備品として採用された腕時計であり、NASAの宇宙計画の中で月に同行した有名なモデルなのです。

 

オメガ REF.3570 50 スピードマスタープロ 手巻

↑NASAの公式装備品であるスピードマスタープロフェッショナル

 

1970年10月5日、オメガはNASAから貢献を称えられスヌーピーアワードを授与されます。その賞を受賞したからこそ、オメガはスヌーピーアワードの限定モデルを発表できたのです。

 

 

 

 

 

◆なぜ、NASAはスヌーピーとコラボレーションしたのか?

 

アポロ11号が人類初の月面着陸を成功させる以前、NASAのミッションや訓練においていくつかの事故がありました。大きなものとしては、1967年、ガス・グリソム氏、エドワード・ホワイト氏、ロジャー・チャフィー氏の3名が船内の火災で亡くなる悲しい事故がありました。NASAの行うミッションが、人命と天秤にかけられるような危険なものであってはなりません。このようなことがあると、世間からの批判、そしてNASAのスタッフのモチベーションも保てません。

 

NASAは同じ過ちを繰り返さないよう、安全に対する取り組みを行います。安全のために最も必要なものは“注意力”です。そして世間やNASAスタッフに広がる不安。どちらも人のマインドに関するものです。それであれば、人のマインドに訴える対策が有効です。そこで、NASAが行ったことは“ミッションの安全・成功のシンボルを設ける”ことでした。そのシンボルに世界的キャラクターのスヌーピーが選ばれました。さらに、スヌーピーアワードを設けることにより、“安全にミッションを成功させること”をNASAが重視していることを内外に訴えます

 

ただ、個人的な疑問として「なぜミッキーマウスやポパイではなく、スヌーピーだったのか?」という事も考えてしまいます。残っている情報としては、スヌーピーが選ばれたポイントは“犬”だからという点があるようです。かつてより人間と密接なパートナーとしての動物であり、“番犬”というイメージもあります。スヌーピーに安全と成功の番をして欲しいということなのでしょうか。そして、ピーナッツにおけるスヌーピーとチャーリー・ブラウンの関係は、どことなく日本アニメのドラえもんとのび太くんの関係に似ています。“決して優秀ではない主人公を支えるパートナー”という存在が、アメリカ人にもしっくりと来たのかもしれません。

 

そして、オメガがスヌーピーアワードを受賞するきっかけになったのも安全面での貢献からでした。アポロ13号で起こった酸素タンクの爆発事故が発端です。事故により館内のコンピュータは使用不可能。乗員は手元のスピードマスターで軌道修正に必要な「14秒」を正確に測定し、逆噴射を行う必要がありました。この絶体絶命の場面でスピードマスターは優れた精度を発揮し、宇宙船を無事地球へと帰還させる原動力となりました。万が一の場合も想定し、NASAはオメガのスピードマスターという優秀な時計を装備品にしていたのです。この功績が称えられ1970年、オメガはスヌーピーアワードを受賞するに至りました。

 

 

 

 

 

◆オメガとスヌーピーのコラボレーションモデル

 

現在のところスヌーピーとのコラボレーションスピードマスターは2モデル存在します。第一弾は黒文字盤、第二弾は白文字盤で、それぞれにスヌーピーのモチーフが入ります。スヌーピーは白い犬ですが、耳は黒ですので、それぞれの文字盤色にも縁がありそうです。では下で、“黒スヌーピー”、“白スヌーピー”の両モデルを紹介いたします。

 

①2003年 スピードマスタープロフェッショナル・スヌーピーアワード(3578.51)

↑裏蓋にもスヌーピー

 

9時位置のスモールセコンドと裏蓋には主役であるスヌーピーが宇宙服を着用した状態で描かれており、当時あまりない新鮮なデザインでした。また、文字盤にはセオドアルーズベルトの名言としても知られている「Eyes on the stars」(地に足を付けて星を見てごらん)と金字で記されています。限定本数はアポロ13号の活動時間である142時間54分41秒からとって5441本限定での販売でした。

 

 

 

②2015年 スピードマスター・アポロ13号45周年・スヌーピーアワード(311.32.42.30.04.003)

↑裏蓋にはシルバー製のスヌーピーモチーフ

 

昨年のバーゼルにおいても新たなスヌーピーアワード限定が発表され話題となりました。アポロ13号の45周年記念として発表されたこちらのモデルにはアポロ13号が経験した多くのドラマが凝縮され詰め込まれているように感じます。あの軌道修正を行った0秒から14秒の間には漫画をイメージしたコマ割りがされており、「What could you do 14 seconds?」(14秒の間に何が出来たの?)と記されており、当時のドラマに由来するデザインが施されています。文字盤中央部には、映画「アポロ13号」のフライトアテンダントであるジーンクランツの言葉「Fall is not an option」(失敗という選択肢は無い)が刻まれています。これは、事故を起こしたアポロ13号の宇宙飛行士を必ず地球へ帰すことを決意した言葉です。ムーブメントにも初代ムーンウォッチの流れを汲んだキャリバー1861が搭載されており、当時の雰囲気も味わうことができるように思います。また事故の起きた1970年から取って1970本限定での販売です。

 

 

 

 

オメガの時計にスヌーピーが登場した理由がお分かりいただけたでしょうか?NASAで起こった悲しい事故、NASAの同じ過ちを繰り返さない強い想い、そしてオメガの時計が成し遂げた実際の貢献。スヌーピーモデルにはこれらのストーリーが隠されているのです。レアモデルのため、このスヌーピーモデルに出会える機会は少ないと思います。ただ、もしこのモデルとめぐり逢える幸運があれば、限定品としての価値だけではなく、そのモデルの存在意義まで知っておいていただくと、スヌーピーモデルが持つ魅力がより理解できるのではないでしょうか。

 

 

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