高級腕時計の時計通信

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22.1.2016

時計愛好家たちに認められる銘品「永久カレンダー3940」(後半) ~時計初心者の方にもわかりやすくパテック・フィリップの名作を解説!!~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

前半からのつづき

※前半の文章を未読の方は、是非、前半からお読みください

 

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(後半)

前半では「3940」がパテック・フィリップにおいてどういった位置づけにあるかを中心に語りました。ここからは、もっと「3940」を掘り下げて見ていきたいと思います。

 

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 ↑パテック・フィリップは永久カレンダーの牽引者

 

 

 

 

◆なぜ歴代永久カレンダーモデルよりも「3940」なのか?

もちろん「3940」の登場より前からパテック・フィリップの永久カレンダーモデルは存在します。そもそも「腕時計初」の永久カレンダーはパテック・フィリップによってもたらされたと言われており、1925年に発表された「97 975」と言われるモデルがその初作と言われています。その後、レトログラード式の「860 182」(1937年)、初の量産機の「1526」(1941年)、その後継機の「2497」と「2438」(1950年代)、少量のみ製作された「3449」(1960年代)など、手巻ムーブメントの永久カレンダーが次々に登場します。複数の型式を世に生み出していることからも、パテック・フィリップは永久カレンダーが得意であると言っても過言ではありません。そして、1962年に初の自動巻式永久カレンダーの「3448」が登場します。その後、後継機として「3450」(1981年)が登場しますが、このモデルはうるう年カウント表示を持っており、永久カレンダーの文字盤表現がより近代的になります。

 

このように腕時計の歴史においても、パテック・フィリップは永久カレンダーの分野を牽引してきた存在です。そして、そんなパテック・フィリップが新時代の永久カレンダーとして送り出したのが1985年の「3940」です。「3940」より前のパテック・フィリップの永久カレンダーは、「月」と「曜日」の表現を12時インデックス下に設けられた2枚のディスクで行っていましたが、「3940」からは「月」と「曜日」の表現を3時と9時のインダイヤルに設けられた「針」でするようになりました。うるう年の表示も同じく「針」式になっています。この永久カレンダーの表現方法は、現行モデルの「5140」にも受け継がれています。

 

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↑「3940」からは「月」「曜日」の表示が針式になった

 

では、パテック・フィリップは歴史上たくさんの永久カレンダーモデルを世に送り出しているにもかかわらず、敢えて「3940」を私が推す理由を述べたいと思います。それは、「3940」より前の永久カレンダーモデルは一般ユーザーの入手が困難だからです。もちろん、運良く小売店に並ぶことも可能性としてはありますが、基本的には何か特別なつながりから入手するか、オークションで落札するかになります。モデルによってはミュージアムピースであり、一般人の手に置く時計ではありません。そして、これらのモデルは、当然、金額も相当な額になるでしょう。この事情からも、一般ユーザーが所有して楽しむのであれば、先代モデルの「3940」か現行モデルの「5140」ということになります。そして、「3940」か「5140」の2択であれば、私が前半の文章で述べた「3940のプロボーションバランスの良さ」からも、私は「3940」を推したいのです!

 

 

 

 

 

◆「永久カレンダー3940」をマニアックに選ぶ!

もし、「3940」が気になるという方がいらっしゃれば、是非とも知っていただきたい点があります。それは、「3940」にはバリエーションがあるということです。少しマニアックな話になりますが、下でまとめていますのでご確認ください。

 

 

<「3940」のバリエーション>

①文字盤バリエーション

・第一世代

→3時・9時のインダイヤル径が小さく、インダイヤルの色が文字盤色とやや異なる。インダイヤルの外に「SUN」「JAN」などのインデックス文字が来る。うるう年を表す1~4の数字の間に4分割線はない。

 

・第二世代

→3時・9時のインダイヤル径が大きくなり、インダイヤル色と文字盤色が同色となる(ただし、24時間計を持つ9時インダイヤルは昼夜を識別しやすいように下半分の色が異なる)。「SUN」「JAN」などのインデックス文字はインダイヤル内に印字されるようになる。うるう年を表す1~4の数字の間に4分割線はない

 

・第三世代

→基本的には第二世代と同じだが、うるう年を表す1~4の数字の間に4分割線が入る

 

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↑4分割線が入る

 

 

 

②裏蓋バリエーション

・「裏蓋選択」時代

→ 初期の「3940」はシースルーバックではなく、金属裏蓋のソリッドバックでした。バリエーションとしてシースルーバック版の「3941」が存在しました。この時代は、どちらの裏蓋が好みかを決め、それに応じて「3940」を購入するか、「3941」を購入するかを選択することになります。

 

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↑シースルーバック版の型式「3941」が存在

 

・「替え裏蓋」時代

→途中から裏蓋を型式で選択するのではなく、「3940」を購入すれば替え裏蓋が付属してシースルーバックと金属裏蓋のソリッドバックの両方を楽しめるようになりました。そのため、「3941」という型式のモデルは終了します。

 

 

 

③その他の細かな仕様変更

・ムーブメントのマイナーチェンジ

→キャリバー名が「240Q」から「240/114」へ。マイクロローター上「カラトラバ刻印なし→あり」へ。テンプ受け「ジャイロマックス説明刻印なし→あり」へ。

 

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↑「240Q」から「240/114」へ

 

・ラグ裏の刻印位置の変更

→ラグ裏にあるホールマークなどの位置が変更される

 

 

 

 

いかがでしょうか?「3940」の中でも種類があり、とても奥深く感じます。それもまた「3940」の魅力です。もし「いつかはパテック・フィリップオーナーになりたい!」とお考えの方がいらっしゃるのであれば、今回ご紹介させていただいた「先代永久カレンダー3940」をターゲットにされてはいかがでしょうか?多くの時計愛好家にも認められた時計であり、パテック・フィリップの最高峰ライン「グランド・コンプリケーション」のモデルでもあります。この時計を手にすることで、最高の満足感が得られることは想像に難くありません!!

 

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