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1.3.2019

時計業界に新たなヒット作誕生!? 今、ジラールペルゴの「ロレアート」が熱い理由

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

最近、時計業界に新たなヒット作が誕生しようとしています。それは、ジラールペルゴの「ロレアート」です。

↑ロレアート

 

このように紹介すると、もしかしたら時計に詳しい方は、

 

「新たなヒット作!?ロレアートは昔からあるでしょ!」

 

と、突っ込みたくなるかもしれません。

 

少し説明させていただきます。確かにロレアートの登場は1975年ですので、昔からあるモデルです。ただし、現行デザインのロレアートに関しては、登場が2016年です。

 

ここでのポイントは、“以前のロレアート”は残念ながら人気モデルとはなれず、最終的には生産終了になった点です。そして年月は経ち、同モデルは“新生ロレアート”として再登場します。この“新生ロレアート”は、ちょっとした話題となっており、「人気モデル」と言える状況になっています。

 

つまり、ロレアートは最近になって、ようやく人気になったモデルなのです。そのため、「新たなヒット作」と表現したのです。

 

今週は、この新たなロレアートである“新生ロレアート”を紹介します。そして、モデル紹介だけでなく、「ロレアートが人気になった理由」も、私なりに解説いたします。

 

 

 

 

 

 

■ロレアートとは?

 

まずは、「ロレアートとはどんなモデル?」という疑問の解消からです。

 

前述の通り、ロレアートは1975年に発表されます。特徴はなんといっても、そのデザインです。まず、本体ケースから金属ブレスまで、一体感のあるデザインにされています。さらに、ベゼルには立体感をもつデザインが与えられています。デザインをジャンルで括るなら、オーデマピゲのロイヤルオーク(1972年)やパテックフィリップのノーチラス(1976年)に近い印象です。

ベゼルは八角形と円を組み合わせた重層構造で、ロイヤルオークやノーチラスとは違う個性をもっています。ただし、最初のロレアートはスリムなクォーツモデルとして作られために、現行モデルと比べると、かなり華奢な印象を受けます。

 

その後ジラールペルゴは、時代のニーズに沿って、機械式のロレアートを作るようになります。従来デザインを踏襲した「ロレアート・オートマチック」、さらに、現代的アレンジを加えた「ロレアートEVO3」などです。しかし、ヒット作と言える状況になることはなく、これらのロレアートは姿を消すことになります。

左:ロレアート・オートマチック

右:ロレアートEVO3 F40

 

そして、ジラールペルゴの225周年イヤーである2016年、限定版としてロレアートが復活します。41mmサイズと現代的サイズでの登場です。これが話題になりました。この限定ロレアートの成功を受け、2017年にレギュラーモデルとして“新生ロレアート”が誕生するのです。

↑新生ロレアート

 

2016年の限定モデルは41mmサイズでしたが、レギュラーモデルは45 mm、42 mm、38 mm 、34 mm の4サイズです。文字盤カラーのバリエーションも豊富で、大きさと色で幅広い選択肢があります。

 

私は、テレビや雑誌などで有名人の方が新生ロレアートを愛用しているのを見かけるたびに、その人気を実感します。

 

 

 

 

 

 

■ロレアートが人気である3つの理由

 

上で書いたように、現在ロレアートは話題となり、時計業界ではホットなモデルのひとつになっています。では、私なりに分析した「ロレアートが人気である理由」を紹介させていただきます。私は、下の3つの理由で、ロレアートは人気を得たと感じます。

 

 

 

①往年のノーチラスやロイヤルオークを感じさせる

ロレアートは4つのサイズがあると説明しました。私は、「38mmサイズを用意したこと」が成功の秘訣だと感じています。この38mmサイズをイメージで語るなら、現在は40mmを越えるサイズが一般的ですので、“懐かしいサイズ感”と表現できます。

 

この“懐かしいサイズ感”は時計愛好家に好印象でしょう。なぜなら、この小ぶりなロレアートは、1990年代を中心に人気を博したパテックフィリップ「ノーチラスRef.3800」オーデマピゲ「ロイヤルオークRef.14790」を思い出させてくれるからです。

 

そして、現在のノーチラスやロイヤルオークの男性モデルは、サイズが40mm以上あり、小ぶりではありません。そうなると、「あの懐かしいサイズのノーチラスやロイヤルオークに近い雰囲気のモデルが、現行モデルで手に入る!」という発想をする愛好家が現れ、ロレアートに惹かれるようになるのです。

 

 

 

②価格の魅力

 

ロレアートは価格の面でも魅力があります。ロレアートの人気サイズは、42mmと38mmでしょう。このサイズのスタンダードなステンレス製のモデルであれば、メーカー新品価格が120~130万円台です(執筆時点)。

↑42mm:1,339,200円(税込み)

↑38mm:1,252,800円(税込み)

 

ノーチラスやロイヤルオークとの価格比較をしてみましょう。ただし、ノーチラスやロイヤルオークの現行モデルは新品での入手が難しいため、現実的に、セカンドマーケットの実勢価格と比較してみます(執筆時点)。

 

 

・ノーチラス5711/1A

→「500~600万円台」

 

・ロイヤルオーク15400ST

→「200万円前後~」

 

 

どうでしょう。ロレアートはメーカーの“新品価格”が「120~130万円台」ですので、かなり“お得感”を感じるのではないでしょうか。

 

 

 

③魅力的な背景がある

 

 

さらに、ロレアートは「魅力的な背景がある」点も魅力です。例えば、上で述べた2つの魅力があったとしても、魅力的な背景がないと、愛好家は反応がシビアになるでしょう。特に、新しく作られた新規シリーズであれば、積み重ねた歴史もなく、背景が薄くなりがちです。

 

しかし、ロレアートは違います。誕生も1975年であり、ロイヤルオークやノーチラスとほぼ“同期”のモデルです。そのため、十分な歴史があります。

 

さらにデザインは、高名なイタリア人建築家である、アドルフォ・ナタリーニ氏が手がけたと言われています。そうであれば、デザインとしての“箔”も十分あります。

 

私も建築デザイナーについては明るくないので、「アドルフォ・ナタリーニ」氏を調べてみました。どうやらナタリーニ氏は、1960年代に設立される反骨的なデザインスタジオ「スーパースタジオ」の創始者のひとりのようです。

 

時計業界を越えた人物が創り出した点で、ロレアートは、ノーチラスやロイヤルオークをデザインしたジェラルド・ジェンタ氏よりも大物によって生み出されたと言えるでしょう。

 

このように、ロレアートは背景がしっかりしており、時計愛好家にも受け入れやすいのです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

 

上で、「ロレアートが人気である理由」を紹介しました。それは、下の3つの点でした。

 

 

・小ぶりなサイズがあり、往年のノーチラスやロイヤルオークを彷彿させる点

 

・価格が魅力な点

 

・背景がしっかりしている点

 

 

私は、この3つの理由が、ロレアートを魅力的なモデルにしていると思います。見事なマーケティングで、本当に上手く時計愛好家をキャッチしたと感じるのです。

 

私も、“新生ロレアート38mm”の現物を初めて見たとき、やはり、「ノーチラスRef.3800みたいだ」と思いました。因みに、「ロイヤルオークみたいだ」と思わなかったのは、ブレスレットデザインがノーチラス寄りなためです。まさかロレアートに“ノーチラス”を感じるとは意外でしたので、私はその後、理由を考えてみました。そして、「ロレアートが“ノーチラス化”した理由」に至りました。

 

それは、「外装のクオリティが劇的に向上した」という理由です。

↑上:新生ロレアート、下:旧ロレアート

 

上の画像をご覧下さい。これは、新旧ロレアートの比較です。皆さんも、質感か大きく違うのを感じることができるでしょうか。

 

きっと私は、かつての“旧ロレアート”であれば、「ノーチラスみたいだ」と感じなかったと思います。なぜなら、かつてのロレアートは現在ほどの外装クオリティをもっていなかったからです。

↑外装クオリティが良くなった新生モデル

 

もちろん、最高峰メーカーの作品であるノーチラスやロイヤルオークと比べると、ロレアートの外装クオリティは劣ります。しかし、十分に満足を得られる質感にはなっています。私は、その質感を見たときに「このレベルまで来たなら、ロレアートは成功する」と感じました。

 

きっとこの先、ロレアートは快進撃を続けるに違いありません!

 

 

 

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