高級腕時計の時計通信

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15.3.2019

「グラスヒュッテオリジナル」はどのような人におすすめか? ~ランゲ1好きならパノシリーズ!~

Komehyo

ブログ担当:伊達

 

皆さんは、下の腕時計を見て、どのような感想を持つでしょうか?

私が時計売場でお話するお客様は、この時計を目にしたときに、

 

「かっこ良い時計だね」

「面白いデザインの時計だね」

「ランゲ&ゾーネの時計?」

 

という感想を持たれます。

 

この時計の正体は、ドイツの時計メーカー、グラスヒュッテオリジナル(Glashütte Original)の「パノマティックルナ」というモデルです。これは、「パノシリーズ」と呼ばれるシリーズの一種で、グラスヒュッテオリジナルの代表作のひとつです。ランゲ&ゾーネの「ランゲ1」というモデルに間違われることがありますが、全く別のモデルです。

↑パノマティックルナ

↑ランゲ&ゾーネと似ている!?

※画像はランゲ1ムーンフェイズ

 

実は私もパノマティックルナを愛用する一人ですが、やはり、私の腕元を見た方に「それランゲ1ですよね?」と言われることが多いです。グラスヒュッテオリジナルもランゲ&ゾーネも同じドイツメーカーですので、雰囲気が似ています。その点が、見間違われる大きな要因でしょう。

 

今週は、グラスヒュッテオリジナルを紹介します。具体的には、「グラスヒュッテオリジナルとはどのようなメーカーか」、そして、「どのような人におすすめか」という点を紹介します。

 

 

 

 

 

 

■グラスヒュッテオリジナルとはどのようなメーカー?

 

まずは、「グラスヒュッテオリジナルとはどのようなメーカーか」という点からです。

 

この点を俗っぽく説明するなら、「ドイツ時計メーカーの二番手(一番手はランゲ&ゾーネ)」ということになるでしょう。ただし、この説明だけでは浅すぎるので、もう少し掘り下げて説明します。

 

その名の通りですが、グラスヒュッテオリジナルは、ドイツのザクセン州グラスヒュッテを本拠地とする時計メーカーです。その前身は、1951年に設立された東ドイツ国営の時計製造企業、グラスヒュッテ国営時計会社(GUB/グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ)です。

 

GUBは、ベルリンの壁崩壊に象徴されるドイツ再統一(1990年)後に民営化されることになります。そして1994年からは、製造する時計に、「グラスヒュッテオリジナル」銘を入れるようになります。2000年には、時計業界最大のコングロマリット「スウォッチグループ」に参加し、大きくメーカーとしての規模を拡大します。

 

そして、グラスヒュッテオリジナルの日本市場への参入は、2002年からです。そのため、私たち日本人から見ると、「2000年代以降に登場した時計メーカー」というイメージがあります。

 

例えば、先ほど紹介した代表作のパノマティックルナなら、登場が2003年です。掘り下げると長い歴史があるとはいえ、やはり印象としては最近のメーカーだと感じます。

 

また、グラスヒュッテオリジナルの得意分野は、なんといっても“自社製造”でしょう。つまり、グラスヒュッテオリジナルはマニュファクチュールであり、外装やムーブメントを自社で作る開発力があるのです。

↑自社製ムーブメント

 

最近は自社製ムーブメントを作るメーカーも増えていますが、特殊機構や複雑機構を搭載した自社ムーブメントを作ることのできるメーカーはまだまだ少ないのが現実です。その点で、グラスヒュッテオリジナルは特殊機構や複雑機構を搭載したムーブメントを自社で製造しており、一線を画しています。

 

 

 

 

 

 

■ランゲ&ゾーネとグラスヒュッテ・オリジナルの関係は?

皆さんの気になる点として、「グラスヒュッテオリジナルとランゲ&ゾーネは関係があるのか」という点があるでしょう。この疑問も解消しておきます。まず、グラスヒュッテオリジナルとランゲ&ゾーネの始まりを見てみましょう。

 

 

 

・グラスヒュッテオリジナル

1945年フェルディナント・アドルフ・ランゲが時計工房を興したのが起源

 

・ランゲ&ゾーネ

1945年フェルディナント・アドルフ・ランゲが時計工房を興したのが起源

 

 

 

これを見ていただくと一目瞭然ですが、グラスヒュッテオリジナルとランゲ&ゾーネは起源が同じなのです。これはGUBのルーツを探ると理解できます。

 

GUBは、第二次世界大戦後に、国営化の名の下に東ドイツの時計製造企業が統合されて誕生したものです。統合された企業は、フェルディナンド・アドルフ・ランゲの興した「ランゲ&ゾーネ」、「ウニオン」、「シュトラッサー&ロウデ」などです。そして、その統合された企業の中で、最も古くからあるのが1845年のランゲ&ゾーネ(創業時は別の名前です)なのです。

 

つまり、グラスヒュッテオリジナルの前身はGUBであり、そのGUBの中には1845年を起源とするランゲ&ゾーネがあるため、グラスヒュッテオリジナルとランゲ&ゾーネの起源が同じように語られているのです。

 

現在のランゲ&ゾーネはブランドを再興させて独立しましたが、それまではGUBの中にあったのです。そのため、ある意味で、ランゲ&ゾーネとグラスヒュッテオリジナルは兄弟メーカーなのです。

 

しかし皮肉にも、現在、グラスヒュッテオリジナルは「スウォッチグループ」に所属し、ランゲ&ゾーネはそのライバルにあたる「リシュモングループ」に所属しています。

 

 

 

 

 

 

■グラスヒュッテオリジナルをおすすめしたい人

 

そして、私がグラスヒュッテオリジナルをおすすめしたい人は、次の方です。

 

 

・ランゲ&ゾーネのテイストの時計が好きな方

 

・高級時計を普段使いしたい方

 

 

なぜなら、グラスヒュッテオリジナルの良さは、ランゲ&ゾーネに近い“ドイツ的デザイン”をもちながら、“普段使いしやすい”ことだからです。

 

特に、代表的なデザインであるグラスヒュッテオリジナルの「パノシリーズ」とランゲ&ゾーネの「ランゲ1」は、どちらともオフセンター(中心をずらした)デザインが特徴的です。そして、大きな日付表示“ビッグデイト”も備えています。このデザインは両時計とも、「黄金比」と呼ばれる、古来に考案された“最も美しい比率”を参考にして作られています。そのため、多くの人の心を奪うデザインであり、私のおすすめです。

このオフセンターデザインは、先行して登場したランゲ1が“先輩モデル”にあたります。おそらくランゲ1の影響を受けて誕生したパノシリーズは、“後輩モデル”ということになります。ドイツの両メーカーから登場したことにより、このオフセンターデザインが“ドイツ的デザイン”となっています。

 

次に、“普段使いしやすい”点です。ランゲ&ゾーネの時計は、ゴールドもしくはプラチナ素材が主となりますので、基本的にはデイリーユース向きではありませ。どちらかと言うと、「ここぞという時の1本」です。

 

逆に、パノシリーズはステンレス素材でも展開があるため、デイリーユースも可能です。ちょっと変な言い回しかもしれませんが、パノシリーズは、「普段使いできるランゲ1」という印象があります。

↑「普段使いできるランゲ1」という印象

 

さらに、パノシリーズの良さを付け加えるなら、「ランゲ1に比べて選択肢の幅が広い」という点が挙げられます。

 

例えば、ランゲ1であれば、大きなサイズの「グランドランゲ1」、月齢表示付きの「ランゲ1ムーンフェイズ」、レディースの「リトルランゲ1」などが一般的なラインナップです。

 

一方パノシリーズは、手巻きの「パノ系」、自動巻の「パノマティック系」があります。そして、機能もさまざまな種類があります。さらに、前述のようにステンレス素材の展開もあり、より多くのバリエーションが存在するのです。

↑さまざまなパノシリーズ

 

パノシリーズの具体的なモデル名を挙げると、冒頭から登場するムーンフェイズ機能付きの「パノマティックルナ」以外に、クロノグラフ機能付きの「パノグラフ」、スケルトン仕様でフェイスから内部を鑑賞できる「パノマティックインバース」、シンプルな日付のみの「パノマティックデイト」、ゼンマイ残量表示機能付きの「パノリザーブ」などがあります。これだけ種類の幅があると、こだわりで選ぶ機械式時計の愛好家に評価されやすいことでしょう。

 

 

 

 

 

 

■最後に

今回は、グラスヒュッテオリジナルを紹介しました。いかがでしたでしょうか。

 

特に私は、代表作のパノシリーズをおすすめさせていただきました。パノシリーズの良さは何といっても「ドイツ的デザイン」と「普段使いのしやすさ」です。もちろんパノシリーズは、ランゲ1と比べると格や質において後塵を拝します。しかしパノシリーズは、ステンレスモデルがあるという強みがあり、よりリーズナブルな価格で手に入ります。

 

例えば、現行のムーンフェイズ付きモデルのメーカー価格は、

 

・ランゲ&ゾーネ

「ランゲ1ムーンフェイズ」

3,834,000円~

 

・グラスヒュッテオリジナル

「パノマティックルナ」

1,080,000円~

 

です。

 

※執筆時点の8%税込価格

 

“毎日つけられるドイツ高級時計”をお探しの方。是非、グラスヒュッテオリジナルを候補に入れてはいかがでしょうか!

 

 

 

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