高級腕時計の時計通信

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28.8.2015

時計業界で最も有名な「時計コレクションセット」 ~オメガのスピードマスターミッションズ~

Komehyo

ブログ担当者:福冨

 

 

オメガの「スピードマスターミッションズ」という名前をご存知でしょうか?

 

これは、1998年に23本のスピードマスターをセットにして販売した限定品コレクションです。セット販売としては、僅か40セットのみの希少な存在です。「最も有名なセット販売の時計」と評価しても、異論はないのではないでしょうか。今週はこのオメガ「スピードマスターミッションズ」について書かせていただきます。

 

 

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(23本の時計がセットになったスピードマスターミッションズ)

 

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(スピードマスターミッションズの文字盤に入るエンブレムの例)

 

 

 

◆スピードマスターミッションズとは?

1997年はスピードマスター誕生の40周年でした。その翌年の1998年はオメガ創業150周年でした。このタイミングでオメガは「大きな何か」をしたいと考えたのでしょう。1998年に、スピードマスターの23本セットの「スピードマスターミッションズ」を40セット限定で発売します。以前のブログ(オメガ「スピードマスタープロフェッショナル」が手巻式である理由とは?)でも触れていますが、オメガのスピードマスタープロフェッショナルはNASAが公式採用する時計です。そのため、スピードマスターはNASAのプロジェクトに頻繁に同行します。例えば、人類初の月への有人宇宙飛行計画の「アポロ計画」(1961-72年)、二度目の有人宇宙飛行計画の「ジェミニ計画」(1965-66年)、NASA初の宇宙ステーション計画の「スカイラブ計画」(1973-79年)などでもスピードマスターは活躍しました。これらの3つの計画で使用されたエンブレムが文字盤に入ったスピードマスターが22本と、初代スピードマスターのレプリカモデルが1本で構成されるセットが「スピードマスターミッションズ」です。驚いたのは、23本セットを収めるケースに使用されたは、なんと「宇宙服と同じ素材から作られた時計ケース」でした。セットで当時約800万の販売価格だったそうです。逸話としてですが、2007年にアンティコルムのオークションで3500万という高額で落札されたそうです。ここまで金額が跳ね上がった理由は、稀少性はもちろんですが、時計ファンのみならず、宇宙ファンも虜にしたことだと思います。

 

<スピードマスターミッションズセットの内容>

・アポロ7号~17号 → 11本

・ジェミニ5号~12号 → 8本

・スカイラブ1号~3号 → 3本

・ファーストモデルレプリカ → 1本

 合計=23本

 

 

 

◆ 「バラ売り」の展開

限定セットは当時かなり話題になり、「取り合い状態」となりました。購入したかったけど買えなかった方も多かったと聞きます。しかし、翌年、購入できなかった方にとって嬉しいニュースが飛び込んできます。なんと、「スピードマスターミッションズを150本限定で、1本ずつ販売する」というものです。つまり、「バラ売り」です。もちろん限定セットの時の時計ケースは付属しません。あまりにもスピードマスターミッションズが話題になったので、オメガが消費者の願いを汲んだ決断をしたのでしょう。「バラ売り」になるとセット販売とは違った現象が起こります。それは「人気の格差」です。そもそも、映画でも有名になった「アポロ13号」エンブレムが入ったモデルは、映画公開と同年の1995年に999本限定で発売して人気を博していました。つまり、アポロ13号限定モデルは、スピードマスターミッションズよりも前に発売し成功をつかんでいます。その影響もあるのか3つのミッションの中でも、アポロ計画のモデルがより人気があると評価されています。

 

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(人気の高いアポロ13号:REF.3595 52)

 

では、セット販売とバラ売りのモデルはどのように見分けたら良いのでしょうか?それは、単純なことですが、裏蓋の限定番号をチェックすれば分かります。「○○/40」と刻印されているものがセット販売のモデルです。

 

 

 

◆私の好みは「ジェミニ11号」

個人的な好みではありますが、私はスピードマスターミッションズの中でも「ジェミニ11号」が推したいモデルです。前述したように、人気モデルはアポロ計画のモデルですが、その「外しのモデル」としてジェミニ計画を推させていただきます。そのジェミニ計画の中でも「11号」を推す理由としては、私がこのエンブレムデザインに惹かれるからです。

 

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(ジェミニ11号:REF.3597 09)

 

このエンブレムには、何が描かれ、何を意味しているのでしょうか?このエンブレムに描かれているものは、「地球から飛び出た『XI』の文字」、「宇宙を遊泳している宇宙飛行士」、「地球の周りに沿った軌道」、そして「CONRAD(コンラッド)・GORDON(ゴードン)という2人の乗組員の名前」です。実は、ジェミニ11号計画の目的は「地球の軌道を回る」「宇宙遊泳」だったそうです。それらの内容が詰め込まれたイラストになっております。他のモデルと比較しても、ミッションの内容を直接的に表現したイラストとなっています。このイラストこそが、スピードマスターミッションズ「ジェミニ11号」を差別化するものです。

 

このモデルを初めて見た人は、「スピードマスタープロフェッショナルだ。でも、文字盤に青いデザインが入っているぞ。」と思うでしょう。そして、「何かとのコラボレーションかな?」と考え、その青いエンブレムに注目すると思います。そのエンブレムに興味が湧き調べてみると、上で述べた「ジェミニ11号」に行き着くはずです。大袈裟かもしれませんが、オメガがスピードマスターミッションズを作り出した理由の1つに、後世に「NASAの偉業」を伝えたかったからなのかもしれません

 

 

 

 

 

スピードマスタープロフェッショナルは、宇宙を想像させるようなブラックの文字盤とベゼルを持っており、「引き締まった表情」をした時計です。そこに、色つきの個性あるエンブレムが加われば、デザイン上の「遊び」として効果を発揮します。その「遊び」部分の存在感は大きく、人々の興味に触れ、その時計の魅力にもなっていきます。そして、その「遊び」部分は単純なデザインのアクセントというわけではなく、「NASAの偉業の記録」であるという意味も持っています。

 

過去と現在をリンクする存在でありながら、魅力ある意匠も実現する。それが、「スピードマスターミッションズ」の最大の魅力なのかもしれません。

 

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